認定NPO法人
救急ヘリ病院ネットワーク
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ドクターヘリにかかわる人たち
ドクターヘリにのるのは、フライトドクター、フライトナース、パイロットと整備士(せいびし)。ヘリにはのらないけれど、基地(きち)病院から指示(しじ)を出すCS(シーエス)も、ドクターヘリをささえているよ。患者(かんじゃ)さんの命をすくうために全力をつくす人たちに、仕事の内容ややりがいについてきいてみたよ!
どんなふうにお仕事しているんだろう!
フライトドクター
ドクターヘリにのり、現場(げんば)で治療(ちりょう)を行う救急医(きゅうきゅうい)。1秒でも早くケガ人や急病人を治療(ちりょう)することが、患者(かんじゃ)さんの命をすくうことにつながるよ。
プロフィール
聖隷三方原(せいれいみかたはら)病院
[静岡県浜松市(しずおかけんはままつし)]
フライトドクター
矢野賢一(やのけんいち)さん
Qどんなお仕事なの?
Aドクターヘリにのって、けが人や急病人のところに行って初期治療(しょきちりょう)をしたあと、こうした人たちをヘリコプターで病院まで運ぶのが仕事だよ。
Qどうしたらなれるの?
Aまず、お医者さんになること。その上で、救命救急(きゅうめいきゅうきゅう)センターなどで1~2年間ぐらい経験(けいけん)をつむ。現場(げんば)で待っているのは初期治療(しょきちりょう)が必要な人たちだから、救急医療(きゅうきゅういりょう)にくわしくないといけないんだ。
Qなぜ、なろうと思ったの?
A救命救急(きゅうめいきゅうきゅう)センターで患者(かんじゃ)さんが来るのを待っているのではなく、自分から困(こま)っている人のところに出向いて行って、できるだけ早く助けたいと思ったからかな。
Qヘリにのるのは、こわくない?
Aこわかったら、フライトドクターになれないよ(笑)。ドクターヘリのパイロットはベテランが多いから、操縦(そうじゅう)がとても上手。安心してのっていられるよ。
Q毎日ドクターヘリにのっているの?
A当番制(とうばんせい)になっていて、自分が当番のときに出動の連絡(れんらく)がきたら、ドクターヘリにのるよ。のらないときは、救命救急(きゅうめいきゅうきゅう)センターに運ばれてきた患者(かんじゃ)さんの治療(ちりょう)や手術(しゅじゅつ)をしたり、病棟(びょうとう)で入院している患者(かんじゃ)さんを診療(しんりょう)したりしているよ。
Qこれまで何回ぐらいドクターヘリにのったの?
A初めてのったのは十数年前で、これまで1000回ぐらいのったよ。
Q心がけていることはある?
A自分が健康じゃないと困(こま)った人を助けられないから、体力をつけるように食べ物に気をつかったり、ウォーキングをしたりしているよ。
Qうれしいときはどんなとき?
Aまず、フライトドクターとして、ドクターヘリにのれることがうれしい。それから、困(こま)っている人を助けられたときは、やっぱりこの仕事をしていてよかったって思うよ。
Qつらいときはどんなとき?
Aつらいとか、たいへんとか、思ったことはない。もっといろんなことができるようになって患者(かんじゃ)さんを助けられたらと思うから、毎日、勉強しているよ。
フライトナース
医師(いし)とともにドクターヘリにのり、初期治療(しょきちりょう)のサポートをしたり、患者(かんじゃ)さんの家族によりそったりするフライトナース。救急医療(きゅうきゅういりょう)の知識(ちしき)だけでなく、不安な人をなぐさめたりなどその場に応(おう)じたふるまいが求められるよ。
プロフィール
聖隷三方原(せいれいみかたはら)病院
[(静岡県浜松市(しずおかけんはままつし)]
フライトナース
山根 康裕(やまねやすひろ)さん
Qどんなお仕事なの?
Aフライトドクターと一いっしょにドクターヘリにのって、ケガ人や急病人のところに行き、フライトドクター の手助けをしたり、家族から状況(じょうきょう)をきいたりしているよ。
Qどうしたらなれるの?
A看護師(かんごし)になって、救命救急(きゅうめいきゅうきゅう)センターで患者(かんじゃ)さんの看護(かんご)をたくさん経験(けいけん)すること。一人でなんでもできる実力がないとなれないんだよ。
Qなぜ、なろうと思ったの?
A看護(かんご)学校の学生だったときに、今、働いている病院にドクターヘリが来ることになって。フライトナースとして働きたいなって思ったのがきっかけかな。
Q病院にいるときの仕事とフライトナースはちがう?
A病院ではチームを組んで仕事をしているけど、フライトナースは特別なとき以外は、いつも一人。そこが大きなちがいだよ。なんでも一人で判断(はんだん)しなければならないので、責任(せきにん)は重大なんだ。
Q機内では、どんなことをしているの?
A現場(げんば)に向かっているときは、患者(かんじゃ)さんを運んでいる救急隊員(きゅうきゅうたいいん)から無線で伝えられる患者(かんじゃ)さんの状態(じょうたい)をきいて、フライトドクターと、治療(ちりょう)について打ち合わせをしていることが多いよ。帰りは患者(かんじゃ)さんをのせているので、患者(かんじゃ)さんの治療(ちりょう)に集中しているよ。
Q救急(きゅうきゅう)バッグはフライトナースが準備(じゅんび)するの?
Aそうだよ。これはフライトナースの大切な仕事の一つなんだ。必ず、朝の出動時間前と、フライトから帰ってきてからは毎回、中身をチェックして、使った道具や薬があったら足しておくんだよ。
Q現場(げんば)で心がけていることは?
Aご家族への対応(たいおう)。おうちの人がケガをしたり、病気になったりしたら不安になるよね。だからご家族が安心できるよう、声をかけたり、必要な情報(じょうほう)を伝えたりしているよ。
Qつらいときはどんなとき?
A目の前にいる人の命をすくえなかったとき。「もっとやることはなかったのか」など、いろいろふりかえって考えるんだ。
Qやりがいを感じるのはどんなとき?
Aパイロットも、整備士(せいびし)も、救急隊(きゅうきゅうたい)も、警察(けいさつ)の人も一生懸命(いっしょうけんめい)、目の前にいる人の命をすくおうとしている。その光景を見ると、ぼくもがんばろうって思うよ。
パイロット
ヘリコプターを操縦(そうじゅう)してフライトドクターやナースを現場(げんば)に送り、患者(かんじゃ)さんを医療(いりょう)機関まで届(とど)けるパイロット。操縦技術(そうじゅうぎじゅつ)が一秒を争う救命救急(きゅうめいきゅうきゅう)のカギとなるだけに、責任(せきにん)は重大だ。
プロフィール
中日本航空株式会社(なかにほんこうくうかぶしきがいしゃ)
パイロット
渡邉 健一(わたなべけんいち)さん
Qどんなお仕事なの?
A主な仕事は、ドクターヘリの操縦(そうじゅう)。フライトドクターとナースをケガ人や急病人がいる現場(げんば)に届(とど)けたり、患者(かんじゃ)さんを病院まで運んだりしているよ。
Qどうしたらなれるの?
Aまずはヘリコプターのパイロットのライセンスをとらないとね。そのあとドクターヘリのパイロットを派遣(はけん)している会社に就職(しゅうしょく)する。その上で「1500時間以上ヘリで飛ぶこと」「ドクターヘリの講習会(こうしゅうかい)を受けること」などの条件(じょうけん)を満たさなければならないんだ。
Qパイロットのライセンスはどうやってとるの?
A日本や海外で自家用ヘリのライセンスをとったあと、事業用のライセンスをとるとか、自衛隊(じえいたい)でヘリのパイロットとしてはたらくなど、いくつかの方法があるよ。
Qなぜ、なろうと思ったの?
A大学のときに、アメリカでドクターヘリが患者(かんじゃ)さんをすくうところを見て、パイロットとして人をすくう仕事をしたいと思うようになったんだ。
Q朝、来たらどんなことをするの?
A整備士(せいびし)とヘリの状態(じょうたい)を確認(かくにん)したり、CS(シーエス)と1日の天気を予想したり。ヘリが安全に飛べる準備(じゅんび)をするよ。
Q患者(かんじゃ)さんを運んでいるときは気をつかう?
Aもちろん。高度を上げすぎると、患者(かんじゃ)さんの体に負担(ふたん)がかかることもあるんだ。だからフライトドクターと相談しながら、高度を調整したりして飛んでいるよ。
Qヘリが飛べないときもあるの?
Aヘリは飛行機とちがって、パイロットがまわりの景色を目で確認(かくにん)しながら飛んだり、着陸したりしているから、視界(しかい)の悪い雨の日や雪の日、霧(きり)の日などは飛べないんだ。夜も飛べないルールになっているよ。
Q出動していないときはどんなことをしているの?
Aその日の天気図を読んで天気がどんなふうに変わるか予想しているかな。依頼(いらい)があったらすぐに飛べるように、天気の状態(じょうたい)はいつでも知っておかなきゃいけないんだ。
Qうれしいときはどんなとき?
Aスムーズに現場(げんば)に到着(とうちゃく)して、フライトドクターやナースがすぐにケガ人や急病人のところにかけつける様子を見るとうれしい。よかったって思うよ。
Qつらいときはどんなとき?
A気流が悪くてヘリがおりられないとき。下にはヘリを待っている人がいるのにおりられないのは、つらいよ。とても胸(むね)が痛(いた)むけど、無理におりるとヘリにのっている人たちの命も危険(きけん)にさらすことになるからね。
整備士(せいびし)
ヘリの機体の点検(てんけん)を行い、安全な運航(うんこう)をささえるよ。ヘリにのってパイロットの補佐(ほさ)をつとめるのに加え、現場(げんば)では、フライトドクターやフライトナースのサポートも行うんだ。
プロフィール
中日本航空株式会社(なかにほんこうくうかぶしきがいしゃ)
整備士(せいびし) 
吉田 博之(よしだひろゆき)さん
Qどんなお仕事なの?
Aヘリコプターが安全に飛行できるように、機体に問題がないかをチェックするのが仕事。毎日、朝と夕方、それからフライトから帰ってきたときにもチェックしているよ。
Qどうしたら整備士(せいびし) になれるの?
A航空機(こうくうき)の整備(せいび)を学ぶ専門(せんもん)の学校に行って、資格(しかく)をとり、航空会社(こうくうがいしゃ)に入ってさらに勉強をするんだ。ヘリコプターは機体によって資格(しかく)があるので、ドクターヘリで使っている機体の資格(しかく)をとらないといけないんだ。
Qドクターヘリの整備士(せいびし)になるには?
Aヘリのことがぜんぶ一人でできるよう、5年以上の経験(けいけん)が必要。ドクターヘリでは、無線を使って消防隊(しょうぼうたい)や救急隊(きゅうきゅうたい)とやりとりをしたり、ヘリのストレッチャーをあつかったりとふつうの整備士(せいびし)とはちがうことをするので、いろんな勉強をするよ。
Qなぜ、なろうと思ったの?
Aぼくの場合は、なりたいというよりも、航空会社 (こうくうがいしゃ)の仕事の一つとして、ドクターヘリの整備士(せいびし)になったんだ。でも、なりたいと希望しても必ずなれるというわけでもないんだよ。
Qドクターヘリの整備(せいび)はむずかしくない?
Aドクターヘリといっても普通(ふつう)のヘリコプターなので、とくにむずかしいということはないよ。今はコンピュータ化されていて、問題があったら教えてくれるから、整備(せいび)しやすくなったんじゃないかな。
Qヘリの整備(せいび)のほかに、どんなことをしているの?
Aのっているあいだは、パイロットが安全に飛べるようまわりの確認(かくにん)をしたり、無線でランデブーポイントの場所を確認(かくにん)したりするよ。ランデブーポイントについたら、ヘリからストレッチャーを出して患者(かんじゃ)さんを運んだり、使った酸素(さんそ)ボンベをのせかえるのも整備士(せいびし)の仕事だよ。
Qうれしいときはどんなとき?
Aパイロットと連携(れんけい)してスムーズな運航(うんこう)ができて、フライトドクターやナースが、ケガ人や急病人のところに早く行けると、よかったと思う。
Qつらいときはどんなとき?
A出動がかさなるなどして、待っている人たちのところに行くのが遅(おく)れてしまったとき。みんな待っているのに……と、つらくなるんだ。
Q女の人の整備士(せいびし)はいる?
Aうちの会社ではドクターヘリの整備士(せいびし)が52人いて、そのうち女の人は1人だけ。男女は関係ないので、これからふえていくんじゃないかな。
CS(シーエス)
基地(きち)病院内のドクターヘリ通信センターにはCS(シーエス)といわれる人がいるよ。消防(しょうぼう)から連絡(れんらく)がきたらドクターヘリに出動の指示(しじ)を出したり、ヘリが飛び立ったあとに消防(しょうぼう)から伝えられる情報(じょうほう)を飛行中の整備士(せいびし)に無線で連絡(れんらく)したり、さまざまな仕事をしているんだ。
プロフィール
中日本航空株式会社(なかにほんこうくうかぶしきがいしゃ)
CS(シーエス)
大野 裕隆(おおのひろたか)さん
Qどんなお仕事なの?
Aドクターヘリが離陸(りりく)してから、病院のヘリポートにもどってくるまでずっと見守る役割(やくわり)だよ。飛行中に天気が変わることもあるので、パイロットに無線で情報(じょうほう)を伝えて、安全に飛べるようにサポートするんだ。
Qどうしたらなれるの?
Aドクターヘリを持っている航空会社(こうくうがいしゃ)に就職(しゅうしょく)すること。一般的(いっぱんてき)な飛行機やヘリコプターが安全に飛ぶための運航管理という勉強をしたあと、希望して選ばれるとドクターヘリのCS(シーエス)になれるよ。
QCS(シーエス)には資格(しかく)が必要?
A「CS(シーエス)」という資格(しかく)はないけれど航空無線通信士(こうくうむせんつうしんし)や三級陸上特殊無線技士(とくしゅむせんぎし)という資格(しかく)は必要かな。
Qなぜ、なろうと思ったの?
Aパイロットを目指しているうちに、CS(シーエス)という仕事もやりがいがありそうだなと思ったんだ。うちの会社には、CS(シーエス)になりたくてほかの会社からうつってくる人もいるよ。
Q消防(しょうぼう)から依頼(いらい)があったら、まずなにをするの?
A消防(しょうぼう)から連絡(れんらく)がきたら、フライトドクターやナース、パイロット、整備士(せいびし)に出動するように伝えるんだ。消防(しょうぼう)の連絡(れんらく)から、ヘリが飛び立つまで5分はかからないよ。
Qヘリが飛ばないあいだは何をしているの?
ACS(シーエス)は、基本的(きほんてき)にはここ(ドクターヘリー通信センター)からはなれられないんだ。依頼(いらい)がいつ入るかわからないからね。だから、待っているあいだはパソコンで天気図や天気予報(てんきよほう)を見たりしていろいろな情報(じょうほう)を集めているよ。
Qいつ依頼(いらい)が入るか、ドキドキしないの?
Aそれはだいじょうぶ(笑)。消防(しょうぼう)無線が入っているので、依頼(いらい)がありそうなときは前もってわかることが多いよ。そこからヘリの出動がありそうだなと予測(よそく)して動くんだ。
Qうれしいときはどんなとき?
A出発から帰ってくるまですべてが順調で、初期治療(しょきちりょう)を終えた患者(かんじゃ)さんが無事に病院まで送られたときかな。
Qつらいときはどんなとき?
Aつらいというよりも、「こわさ」のほうが大きい。ドクターヘリにのっていくのはパイロットと、整備士(せいびし)と、フライトドクターとフライトナース。チームの中で地上にいるのはCS(シーエス)だけなんだ。みんなが安全に飛行できるように、できることは全部やっているつもりだけれど、責任(せきにん)の重さをすごく感じるよ。
Q天気にくわしい方がいい?
Aドクターヘリが飛べるかどうかは、天気にかかっているんだ。だから天気を予測(よそく)する力や、「このあたりは霧(きり)が出やすい」など、地域(ちいき)の天気の特色などをしっかりわかっていたほうがいいね。
取材に協力してくれたみなさん。左から、フライトナース、フライトドクター、整備士(せいびし)、パイロット、CS(シーエス)。チームワークはバツグンだ