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ドクターヘリの機体と
内部を徹底解剖
ドクターヘリの最大の目的は、医師や看護師が現場に赴いて、その場で治療を行うこと。ヘリには、傷病者の命を救うために最低限必要な医療機器が装備されています。さらに、医療器具や医薬品などが入った「救急バッグ」も用意されていて、フライトドクターやフライトナースはそれを持って救急車内で待つ傷病者の元に駆けつけます。
救急バッグの中身
ドクターヘリで現場に到着したフライトドクターやフライトナースは、点滴セットなどの医療器具や医薬品が入った救急バッグを持って、救急車内で待つ傷病者のもとに向かいます。バッグの中身は医療機関によって違いますが、東海大学医学部付属病院では「成人用」と医療器具のサイズが小さい「小児用」の2種類を用意しています。
現場では「機材が足りないから救命治療ができない」というわけにはいきません。そのため、同院の場合、応用が利く医療器具を入れてあります。
ドクターヘリの所有者は?
ドクターヘリはヘリコプターの運航会社が所有しています。ドクターヘリの導入は都道府県が決め、医療計画に位置付けられますが、運営は都道府県の要請を受け、「救命救急センター」を持つ基地病院が行います。その一方で、ドクターヘリに使うヘリコプター、パイロット、整備士、CS(Communication Specialist)(※)は、運航会社が配備します。 ドクターヘリに装備する医療機器に関しては一定の基準のもとで、運航会社と基地病院が調整し、細かい仕様を決めていきます。
※CS(Communication Specialist):ドクターヘリの出動要請が入った際にクルーに出動指示を出し、そのあとは消防本部指令室とやりとりをしてランデブーポイントを調整。飛行中は運航支援業務を行いながら、消防や医療機関との調整を図るなど、さまざまな業務を担う。
ドクターヘリの機種
傷病者を運ぶドクターヘリには、機内で治療ができるためにさまざまな基準が設けられています。例えば、「パイロットと整備士のほか、フライトドクター、フライトナース、患者など4名以上が搭乗可能であること」「一般の患者だけでなく、妊産婦の収容や保育器などの搬入が可能であること」「搭載している人工呼吸器などに2時間以上100%酸素などを供給できるシステムがあること」などです。
こうした基準を満たし、国内で運航しているドクターヘリは全部で5種類。その特徴は以下の通り。ちなみにテレビドラマ『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』に登場した機種は「MD902」です。
BK117(C2)
後方キャビンに5人乗れるゆったりとしたスペース
川崎重工業と西独メッサーシュミット・ベルコウ・ブローム社(現仏エアバス・ヘリコプターズ社)が共同開発した双発タービン機。機内が広く医療行為がしやすい。
全長 |
13.03m(ローター回転) |
全高 |
3.96m |
最大離陸重量 |
3585kg |
ローター直径 |
11.0m |
発動機 |
サフラン・アリエル(738shp)2基 |
最大速度 |
269km/h |
巡回速度 |
254km/h |
運航可能距離 |
700km |
搭乗者数(通常) |
乗員2名+同乗者4名+患者1名 |
EC135(H135)
警察や消防などでも使われている範用ヘリコプター
西独メッサーシュミット・ベルコウ・ブローム社が試作した原型Bo108が基本の双発表タービン機。現在は仏エアバス・ヘリコプターズ社で製造し、H135と改称されている。尾部ローターを垂直尾翼内に収めたフェネストロンが特徴。日本で最も多く導入されている。
全長 |
10.25m |
全高 |
3.90m |
最大離陸重量 |
2980kg |
ローター直径 |
10.40m |
発動機 |
サフラン・ヘリコプター・エンジンズARRIUS 2B2PNS×2基
または、プラット・アンド・ホイットニー・カナダ PW206B3×2基
|
最大速度 |
259km/h |
巡回速度 |
250km/h |
運航可能距離 |
625km |
搭乗者数(通常) |
乗員2名+同乗者3名+患者1名 |
MD902
テールローターがない「ノーターシステム」で騒音を低減
米ベル・ヘリコプター社が救急ヘリコプターを主目的として開発した双発タービン機。
全長 |
12.11m |
全高 |
4.05m |
最大離陸重量 |
3175kg |
ローター直径 |
10.97m |
発動機 |
PW207(730shp)2基 |
最大速度 |
287km/h |
巡回速度 |
278km/h |
運航可能距離 |
760km |
搭乗者数(通常) |
乗員2名+同乗者3名+患者1名 |
BELL429
救急活動用のヘリコプターとして開発
米ベル・ヘリコプター社が救急ヘリコプターを主目的として開発。小型機としては比較的大きなエンジン出力を持つ双発タービン機。
全長 |
13.11m |
全高 |
4.04m |
最大離陸重量 |
3175kg |
ローター直径 |
10.97m |
発動機 |
PW207 D1またはD2(730shp)2基 |
最大速度 |
287km/h |
巡回速度 |
278km/h |
運航可能距離 |
761km |
搭乗者数(通常) |
乗員2名+同乗者3名+患者1名 |
AW109SP
広い横ドアで、患者の搬入もスムーズ
伊アグスタウェストランド社(現レオナルド社)が製造する双発タービン機。当初のA109は1970年代初めに開発。エンジンの強化やローターの改良などで大きく進歩。
全長 |
12.96m |
全高 |
3.4m |
最大離陸重量 |
3175kg |
ローター直径 |
10.83m |
発動機 |
P&W 207C (タービンエンジン) / 双発機 |
最大速度 |
311km/h |
巡回速度 |
278km/h |
運航可能距離 |
633km(DH仕様) |
搭乗者数(通常) |
乗員2名+同乗者4名+患者1名 |