宮大付属病院、来春めど
宮崎大付属病院はドクターヘリ導入に向け準備を進めている。2012年4月の導入を目指しており、実現すれば高速道路の整備が遅れている県内の緊急医療体制に大きく貢献することになる。(関屋洋平)
導入をサポートする県は13日、消防署員らを対象にした説明会を県庁で開いた。説明会には県内の9消防本部の署員ら約40人が参加。冒頭のあいさつで、県医療薬務課の緒方俊課長は「消防隊員の協力なくして、ドクターヘリは効果を発揮できない。県内の医療体制充実のために、協力をお願いしたい」と訴えた。
宮崎大医学部の鳥居時政総務課長が計画の進捗(しんちょく)状況を説明。患者の受け入れ態勢充実に向けて救命救急センターの設置準備を進めていることや、ヘリは購入するのではなく業者に運航を委託すること、業者の決定は4月に行うこと――などを報告した。
また、ヘリを使えば同病院から35キロ離れた都城市とは約10分、98キロ離れた高千穂町とは27分で結べるとの試算も示した。
既にヘリを運行している日本医科大千葉北総病院(千葉県)の金丸勝弘医師は、宮崎と人口規模が大きく変わらない長崎県では昨年度の出動件数が563件に上ったことなどを指摘してへリの重要性を強調。その上で、「現場の要請がなければヘリも動けない。キーマンは消防隊員の皆さんだ」と訴えた。
説明会後、西都市消防署の関谷賢三郎署長は「重傷者を宮崎市内の病院まで搬送すると、30分から1時間はかかってしまう。ヘリの導入で搬送時間が短縮できれば、救命率は格段に上がる」と期待を示した。
県医療薬務課によると、九州・沖縄では福岡、長崎、沖縄の3県が既にドクターヘリを運行しており、熊本、大分、鹿児島の3県も11~12年度の導入を予定しているという。(2011年1月16日 読売新聞)