鳥取大学医学部付属病院(米子市)に先月ヘリポートが完成した。搬送時間の短縮に役立つが、救急医療の充実にはヘリポート整備に加えて救急医療用ヘリコプター(ドクターヘリ)の導入が欠かせないと指摘されている。運航経費の問題など導入に向けた課題を探った。
同病院のヘリポートは救命救急センターに隣接。傷病者をヘリ搬送する際、約1キロ離れた米子港で救急車に乗せ替えていた従来に比べて所要時間が10分程度短縮された。
カバーは一部
ヘリポート完成は併せて、鳥取県単独のドクターヘリの導入を検討するきっかけになった。
現在、県内を飛ぶのは、公立豊岡病院(兵庫県豊岡市)を拠点に鳥取、兵庫、京都の3府県が共同運航する1機と、島根県立中央病院(出雲市)を拠点に島根県が運航して中国5県の協定によって鳥取県中・西部もカバーする1機。しかし、両拠点からドクターヘリ先進国のドイツなどで目安とされている片道15分(半径50キロ)圏内に含まれる鳥取県の地域は岩美町や鳥取市、米子市や境港市など一部にとどまる。
ヘリ救急の普及に努めているNPO法人・救急ヘリ病院ネットワーク(東京都千代田区)の篠田伸夫理事長は「ドクターヘリの利点はスピーディーな救急対応。鳥取県内に拠点がなければ利点が生かせない」と指摘。鳥取大学病院の北野博也病院長は「離れた場所の患者でも、高度医療や救急医療を提供している大学病院が診るべき患者を診られるメリットは大きい」と導入効果を挙げる。(2014年8月7日 日本海新聞)