―空白地の道南、地元医師会も搭乗方針
北海道で4機目となるドクターヘリの整備事業について検討してきた函館市などの道南18市町と地元医師会や医療機関などが、導入に合意したことが19日までに分かった。函館空港を拠点に運航し、基地病院の市立函館病院の医師に加え、地元医師会の医師らもフライトドクターとして搭乗する方針。今後、運航調整委員会を立ち上げ、早ければ来年度中に運航を開始する見通しだ。
―離島からの救急搬送、「大幅な時間」
道央や道北、道東の3エリアでは、ドクターヘリが1機ずつ配備されているが、道南は唯一の“空白地”だった。道南にある3つの二次医療圏の総面積は6566平方キロメートル。京都、大阪の両府の合計した面積に匹敵する広さで、約48万人の圏域人口の約6割が函館市に集中。重篤な急患は、救命救急センターに指定されている市立函館病院が受け入れてきた。
しかし、北海道が2011年11月にまとめた道南圏地域医療再生計画では、離島の奥尻町などから市立函館病院までの救急搬送は、「大幅な時間を要している」と問題視。道内3機体制で運航されているドクターヘリも航続距離の関係から、道南圏をカバーしていないことを課題に挙げていた。
こうした課題を解決するため、道南の18市町に加え、函館市医師会や渡島医師会、北海道看護協会道南南支部などの医系6団体、二次輪番病院の市立函館病院や八雲総合病院、道立江差病院などで構成される「道南ドクターヘリ導入調査検討会」で、昨年4月から検討を開始。搭乗する医師の確保や格納庫の設置、地元自治体の費用負担などの課題を議論した結果、今年7月末に基本合意に達した。
―経費は18市町で分担、基地病院の負担軽減
ドクターヘリを運航する際、国などの補助対象を超えた運航関連経費は基地病院が負担するケースがほとんどだが、市立函館病院では財政的に負担に耐え切れない可能性があったため、格納庫の整備などの基盤的経費は18市町で均等に負担し、運航関連経費は補助金超過分を利用割合に応じて18市町が負担する方向でまとまったという。
函館空港内に待機するフライトドクターらは、基地病院の市立函館病院の医師らに負担が集中することを避けるため、札幌医科大や地元医師会の医師も加わる見通し。函館市と函館医師会などで今後、待機する医師らの人員確保の体制などを協議する方針。ドクターヘリには、主に基地病院などの救急医や専門医が搭乗することがほとんどで、地元医師会の医師がフライトドクターとして医療活動を行うケースはまれだ。
ドクターヘリの導入について、函館市は「救命率の向上や後遺症の軽減が期待できる。道南ドクターヘリは、地域全体で支えていかなければならない事業。運航に向け準備を進める」としている。【新井哉】
(2013年8月20日 CBnews キャリアブレイン)