「選定、来夏までに」
三重県内全域を搬送エリアとする県独自のドクターヘリの導入に向けた県医療審議会救急医療部会ドクターヘリ導入検討分科会(座長=野口宏・藤田保健衛生大教授)が16日、県庁で開かれ、ヘリを配備する基地病院を来年夏までに選定する方針で一致した。
(上村香代)
県は三重大病院(津市)と山田赤十字病院(伊勢市)を基地病院の有力候補に挙げており、両病院の新築工事が終わる2011年秋をめどにドクターヘリ導入を目指している。
検討分科会では、選定の参考となる調査結果を来年3月下旬にまとめることも決定。基地病院に必要なヘリポートの整備状況やヘリの騒音による影響のほか、患者をピックアップできる既存のヘリポートや、防災ヘリを活用した運航の可能性などについて調査する。
検討分科会に出席した医療関係者からは、「小中高校のグラウンドが臨時のヘリポートになるよう、教育委員会に協力を求める必要がある」「岐阜県の防災ヘリのような墜落事故を防ぐため、選定にあたり、ヘリの機種の安全性をしっかり調べてほしい」などの要望が出た。また、10月施行の消防法改正で各都道府県に義務付けられた救急搬送のルール策定と検討時期が重なるため、「県全体の救急医療体制を見直す良いチャンス」という意見もあった。
県のこれまでの調査によると、県内でドクターヘリを必要とする救急搬送は年間約500件と予想される。近隣に救命救急センターなど3次救急医療機関がないため、県内で高い需要が見込まれる紀勢地区広域消防組合消防本部(大台町)の管内では、救急車による搬送に平均31分、三重紀北消防組合(尾鷲市)の管内では、病院間の転送に平均74分を要している。 (2009年12月17日 読売新聞)