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大島病院に救急センター ドクターヘリ念頭<朝日新聞>
2010.02.19

「改革継続・生活優先予算」と名付けた県の2010年度当初予算案。医療・福祉分野は、最も重要な課題として伊藤祐一郎知事が掲げた「三つの課題」の一つに位置づけられた。離島救急医療態勢の確立や肺がん予防を目指した新規事業を打ち出した。
県立大島病院(奄美市)に、脳卒中や心筋梗塞(しん・きん・こう・そく)など一刻を争う救急患者に対応する地域救命救急センターをつくるため新規に2351万円を計上した。救急医療の専門医が乗り込んで救急患者を高度医療技術を備えた病院に迅速に運ぶドクターヘリ導入を見据えたものだ。
現在、離島で救急患者が発生した場合は、消防・防災ヘリを使って救命救急センターがある鹿児島市立病院へ運ぶ。だが、この運用は種子島や屋久島、三島、甑(こしき)島など比較的本土に近い離島に限られている。本土から遠い離島は沖縄県に協力を依頼しドクターヘリで沖縄に搬送しているが、カバーできる範囲は徳之島以南(徳之島、沖永良部島、与論島)だ。
奄美群島とトカラ列島の多くはこの二つのカバーエリアから外れ、自衛隊に出動を要請している。
そこで期待をかけるのがドクターヘリ。保健医療福祉課は「県土は南北600キロと広大。ヘリの飛行距離を考えると2機での対応が必要」と話す。
08年度末の「ドクターヘリ導入計画」によると、ヘリ1機が11年度から鹿児島市立病院を拠点に種子島・屋久島をカバー。13年度からは県立大島病院を拠点に1機が奄美群島周辺をカバーする。鹿児島市を拠点とするヘリは県本土でも運用され、2機で県全土をカバーできるようになる。
大島病院には、屋上にヘリポートを備えた新救急救命施設を建設。10年度予算はその設計費に充てる。
肺がん予防対策としては「肺がん早期発見促進事業」に6181万円を計上した。発症率が高い50歳以上の約1万人を対象にCT検診費の約7割を助成する。県内のがんによる死亡者のうち、肺がんの死亡率が最も高いためだ。
健康増進課によると、08年のがん死亡者5268人のうち肺がんは992人とトップ。人口10万人当たりの死亡人数も57・9人と全国平均(53・1人)を上回っている。同課の担当者は「肺がんが多い理由は不明だが、がん全体が加齢による疾病リスクが高い。国の補助がある乳がんのマンモグラフィー検査などと違い、肺がんのCT検診は経済的な負担が大きい」と理由を話す。
伊藤知事も昨年、肺がんを患い手術した。復帰後の定例記者会見では早期発見の重要性を語り、「人間ドックで希望者がCTを利用しやすい道を用意しなければならない」と話していた。
(三輪千尋)

総額7738億円を盛り込んだ来年度の県当初予算案。2期目の折り返しを迎える伊藤県政はどんな施策に取り組もうとしているのか。注目事業を紹介する。(2010年2月15日 朝日新聞要約)