2014年度の県ドクターヘリの出動件数が前年度より149件多い866件となり、09年3月の運航開始以来、過去最多となったことが、県のまとめで分かった。2機体制での通年運航が2年目を迎え、1機では対応できなかった事案も同1・7倍の128件に伸びた。県は「運航を重ねることで消防で出動要請する判断がしやすくなっている」としている。【森健太郎】
県のドクターヘリは09年3月、八戸市民病院(八戸市)を拠点に運航を開始。11年4月から県立中央病院(青森市)と1機を相互運用し、12年10月から両病院にそれぞれ1機を常駐させる2機体制となった。13年4月からは青森、秋田、岩手の北東北3県で県境を越えた広域連携も始まった。
県医療薬務課によると、出動要請は延べ1017件(前年度比133件増)で、初めて1000件を突破。地域別では上十三地方からの要請が最も多い356件(133件増)と大幅に増えた。出動の内訳は、八戸市民病院のヘリが489件、県立中央病院のヘリが377件。
1機では対応できなかった事案128件のうち、同じ時間帯に1機が出動中だったのが120件、最初の要請が天候不良などで出動できなかったのが8件。天候不良や重複要請などで2機とも不出動だったのは101件(同28件減)で、降雪などで冬場の出動が減ったことが影響したとみられる。
一方、北東北3県の広域連携による出動は20件(同13件増)で、このうち青森県ヘリの出動が最多の12件(同7件増)。広域連携は昨年10月から、医師の判断で他県からの出動も要請できるよう要件が一部緩和されたが、県内では該当する出動はなかった。
県医療薬務課の楠美祥行課長は「2機体制の効果が着実に表れている」と分析。青森から他県への出動が増えたことについては「他県への出動が増えたからといって青森県の経費が特別増えたわけではない。今後も関係機関の連携を深め、適正な運航のあり方を他県とも協議したい」としている。
(2015年6月25日 毎日新聞)