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県防災ヘリ、5月の操縦士採用断念 通年運航再開めど立たず<信濃毎日新聞>
2014.04.14

 昨年1月から正規の操縦士が1人態勢になっている県消防防災ヘリコプター「アルプス」について、県が当初予定していた5月1日付での操縦士補充員の採用を断念したことが7日、分かった。2~3月にかけた募集に2人が応募したものの、「総合的な判断」(県消防課)の結果、採用に至らなかった。同ヘリは現在、操縦士不足のため週2日は運航できない状態。操縦士確保が難航している背景には全国的な人材不足があるとみられ、県消防課は「通年運航再開の見通しは立っていない」としている。

 アルプスは、山岳遭難者の救助や山林火災の消火などの際に出動。2012年は102回、13年は125回運航し、今年2月の豪雪時には佐久市や下伊那郡天龍村などの孤立集落に向かい、住民を救助したり、物資を輸送したりした。

 現在の操縦士は50代男性の1人のみで、負担を減らすために昨年4月からは週2日を運休日に設定。飛べない場合は県警ヘリや、長野県と相互応援協定を結んでいる山梨、岐阜など隣接6県から応援を受けている。

 山火事発生に伴い休みの操縦士を緊急招集したこともあり、同課は「災害や救助に迅速に対応するには操縦士2人態勢が不可欠」と説明。昨年1~2月、4~5月にそれぞれ操縦士を募集したが、採用できなかったり、訓練中に退職したりしたため、あらためて今年2~3月に募集した。

 今回の募集では、これまで設けていた「1千時間以上の飛行経験」の条件をなくし、間口を拡大。しかし、応募した2人のうち1人は消防防災ヘリと同型機種の操縦資格を持っておらず、もう1人はヘリ運航の実技選考を実施したものの、「総合的に判断して採用に至らなかった」(県消防課)という。

 同課によると、医師らを乗せて救急患者の元へ急行するドクターヘリの配備が全国で進み、飛行経験豊富な人材が全国的に不足しているという。同課は「操縦士を再募集するか、自前で人材育成に取り組むか、検討する」としている。(2014年4月14日 信濃毎日新聞)