リチウム電池使用クベース(保育器)のドクターヘリへの持ち込みは可
11月25日開催のHEM-Netシンポジウムにおいて、リチウム電池使用のクベース(早産児、未熟児のハイリスク新生児を低体温から発生する悪循環や合併症から予防するために保温する保育器)をドクターヘリに持ち込むことについて、地方航空局によっては発火性を理由に航空法上「輸送禁止物件」として扱っているとの指摘がありました。
このことについて12月2日、HEM-Netから国土交通省航空局運航安全課長に問い合わせたところ、12月4日、リチウム電池使用のクベースをドクターヘリに持ち込むことは下記理由により「輸送禁止物件」には含まれない、つまり航空法上可能である旨の回答を得ました。
また、HEM-Netの指摘を受け、改めて地方航空局には上記の趣旨の徹底を指示し、運航者等からバッテリーに関しての問い合わせがあった際には、『爆発物等の輸送禁止』の対象に含まれない旨対応するよう指示しているとの回答を得ました。
<理由>
航空法施行規則第194条第1項は、航空法第86条に基づき、第一号から第十号に亘って「輸送禁止物件」を規定している。
しかしながら、同条第2項は、第1項の規定にかかわらず、一定の物件は「輸送禁止物件」に含まれないものとするとして、第三号に「航空機の運航、航空機内における人命の安全の保持その他告示で定める目的のため当該航空機で輸送する物件(告示で定めるものを除く。)」を規定している。
リチウム電池使用のクベースはこの第三号に該当する物件であることから、当該クベースをドクターヘリに持ち込むことは航空法上可能である。
<参照条文>
航空法
(爆発物等の輸送禁止)
第86条 爆発性又は易燃性を有する物件その他人に危害を与え、又は他の物件を損傷するおそれのある物件で国土交通省令で定めるものは、航空機で輸送してはならない。
航空法施行規則
(輸送禁止の物件)
第194条 法第86条第1項の国土交通省令で定める物件は、次に掲げるものとする。
一~十(略)
2 前項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる物件は、法第86条第1項の国土交通省令で定める物件に含まれないものとする。
三 航空機の運航、航空機内における人命の安全の保持その他告示で定める目的のため当該航空機で輸送する物件(告示で定めるものを除く。)