和歌山県と県立医科大学は大阪府、徳島県とそれぞれ、救急医療用のヘリコプターの相互応援体制をつくる。多数の傷病者がいたり、ドクターヘリがすでに要請先に運航している場合の救命率向上が狙い。徳島県とは24日から、大阪府とは4月1日から実施。相互応援は全国でも初めてという。
県は2003年1月にドクターヘリを和歌山市の県立医大に配備。運航は07年度が379件、08年度は2月末までに350件あった。通算で2000回を超えている。
利用が増加する一方、ヘリ不在時の出動要請は年間20件程度あり課題になっていた。これまで救急車や南紀白浜空港の防災ヘリで対応していたが、大阪府が昨年1月からドクターヘリを導入。徳島県も8月から防災ヘリをドクターヘリとして運用し始めたため、提携を働き掛けていた。
ドクターヘリの運航範囲は30分以内に到着できる半径100キロ圏内。和歌山県からは大阪府全域と徳島県の東側。大阪府からは紀北、徳島県からは紀北から田辺市までが対象になる。「県のヘリで紀南に対応し、応援で紀北をカバーするなど役割分担できれば」という。費用負担は当面無料。
県はドクターヘリを持たない三重、奈良県からの出動要請にも応えている。07年度の出動は12件、08年度は26件。「実際には応援機会は少ないと思うが、安全網が強化できる。ヘリで搬送できる傷病者は1人で、大事故の場合などに相互応援が生かせる」と話している。
徳島県のヘリは昨年8月から2月末までに29件、08年度の大阪府は2月末までに57件出動している。