大手自動車メーカーと、ドクターヘリを運用する病院などは、重大な交通事故が発生した場合に自動的にドクターヘリに通報するシステムを共同で開発し、30日から試験的に運用を始めました。
このシステムは、トヨタ自動車やホンダ、それにドクターヘリを運用する病院で作るNPO法人「救急ヘリ病院ネットワーク」などが共同で開発したもので、北海道や千葉県、長崎県など全国9つの病院で30日から試験的に運用を始めました。
交通事故が発生すると、車が衝突した時の速度などのデータが直ちに専用のコンピューターに送信され、280万件に上る過去のデータと突き合わせて重大な事故と判断すれば、ドクターヘリを運用する病院に自動的に通報する仕組みです。ドライバーが意識を失い、目撃者がいない場合も迅速に対応できることから、病院側は、事故の発生から治療開始までの時間が平均で今の38分から21分に短縮できるとしています。利用するにはシステムに対応した通信機能などが必要で、対象となる車は今はおよそ10万台ですが、再来年には40万台に増える見込みで、3年後の本格的な運用開始を目指すということです。
救急ヘリ病院ネットワークの益子邦洋理事は「1分でも早く治療を始めることが命を救うことになるため、今回のシステムは迅速な救命活動につながる」と話しています。
(2015年11月30日NHKニュース)