◆検証命の現場
災害発生時に被災者を危険から守り、生き延びる「支え」となるのが、医療機関や救命ヘリコプター、避難所などだ。東日本大震災から4年半が経過したいま、命に向き合う現場はどのような状況にあるのか。岩手、宮城、福島の被災3県が置かれた現状と課題を、データとともに考える。
消防防災ヘリコプターは岩手、宮城、福島の被災3県に計5機が配備されている。各県が1機ずつ運航するほか、仙台市が2機を持つ。
各機の性能は定員14~15人、有効積載量1.4~2.3トン、巡航速度204~269キロ。災害時には機動性を生かし、情報収集や救急救助、消火、物資搬送などに当たる。
震災では宮城県の防災ヘリが津波で使用不能となったが、3県には全国の都道府県、政令指定都市から計58機(岩手20機、宮城23機、福島15機)の応援があり、救助活動を展開した。
ドクターヘリは、医師ら医療スタッフが同乗し、素早い救命医療を行う。防災ヘリと比べると小型で定員は6人程度。200~250キロで飛行する。震災当時、全国に配備されていた26機の7割に当たる18機が被災地で活動した。
現在、岩手と福島両県がそれぞれ1機を運航する。東北6県で唯一未配備の宮城県は導入に向けて準備を進めているが、運航開始時期は決まっていない。
震災では消防防災ヘリとドクターヘリ以外に、自衛隊217機(陸自105機、海自79機、空自33機)、海上保安庁17機、さらには警察、国土交通省、米軍のヘリコプターがさまざまな活動に当たった。民間ヘリも救援物資の輸送を実施した。(2015年9月11日河北新報)