千葉県で28日、自動車の衝突事故で、発生と同時に傷害の程度などを自動的に判断、ドクターヘリが出動して救命率を高める「先進交通事故自動通報(AACN)システム」の実動訓練が行われた。この訓練はドクターヘリや自動車業界関係者で作る団体「救急ヘリ病院ネットワーク・AACN救急医療支援サービス研究会」(会長、益子邦洋・南多摩病院院長)が主催。
交通事故発生と同時にコールセンターに通報するシステムはすでに実用化、全国で約50万台の車が搭載している。しかし、そのやりとりは基本的に携帯電話。AACNはこのシステムを高度化し、自動車に搭載されたセンサーからの情報で、コールセンターのソフトが運転者などのけがの状況まで判断して病院や関係機関に通報して重傷の場合、そのままドクターヘリが出動する仕組み。
訓練では、佐倉市染井野の路上で単独交通事故が起こり運転の男性が重傷を負ったという想定で、自動車からの信号を受け、約10キロ離れた印西市の日本医科大学千葉北総病院からドクターヘリが自動的に出動して、通常なら1時間近くかかるところ、負傷者役の男性を事故発生から31分で現場から同病院に運んだ。
益子会長は「1分でも早く患者を収容できれば、救命率が上がる。政府は国家目標として年間の交通事故死者を2500人としており、AACNは効果的な道具だ」と話していた。同研究会では、この訓練での課題を検証して8月には全国でシステムの運用にこぎ着けたいとしている。【黒川将光】
(2015年3月28日毎日新聞)