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ドクターヘリ越境 県慎重「県内手薄」懸念 青森 〈読売新聞〉
2013.12.07

北東北3県によるドクターヘリの広域連携を巡り、県境を越えた運航に一定の制限を課した現行ルールを見直すかどうかで意見が割れている。出動要件の 「緩和」を求める秋田・岩手両県に対し、やみくもに越境を認めれば県内への対応が手薄になる恐れもあるとして、本県は慎重だ。県内に目配りしつつ、県外に どこまで手をさしのべるのか――。そのはざまで決めあぐねている。(木瀬武)

■「硬直的な運用」

 「一刻を争う救急医療では、縄張り意識ではなく臨機応援の対応を原則とすべきだ」

 11月29日の県議会一般質問で畠山敬一県議(公明)は、本県の対応が柔軟性に欠けるとして批判した。

 今年度から試行的に始めた広域連携は、自県ヘリが対応できない場合に限って他県に出動を要請できる。裏返せば、他県のヘリが速やかに現場に到着できる場合でも、遠方に駐機する自県ヘリを呼ばなければならないということだ。

 広域連携の出動要件を厳しくするのは、自県での運用に支障を出さないためだが、県境の地域を中心に改善を求める声は根強い。

 秋田・岩手両県は医師や消防などの意向も踏まえ、11月28日に行われた3県の実務者会議で、県域にとらわれず「医師の判断」で要請できる修正案を提示した。これに対し、本県の担当者は「持ち帰って検討する」と回答を保留した。

■ためらう理由

 県内の医療関係者からも「救急医療の原則は目の前の瀕死(ひんし)状態の患者に全力を尽くすことだ」(今明秀・八戸市立市民病院救命救急センター所長)と疑問視する声が出ている。

 それでも県が慎重なのは、要件緩和が県内での運用に及ぼす影響を読み切れないためだ。

 秋田・岩手両県が提示した修正案では、出動要請を受けた医師が患者の容体などを勘案して救命に効果的と判断すれば、他県ヘリを要請できる。

 だが、実際には「一般的には距離の近いヘリが選ばれるだろう」(岩手県医療政策室)とみられ、本県が両県の一部地域を全面的に請け負うことも予想される。

 県内では年間約800件の出動要請があり、「いざという時に県内の出動要請に対応できなくなる」(県幹部)との懸念がくすぶっている。

■県民理解

 NPO法人「救急ヘリ病院ネットワーク」(会長=国松孝次・元警察庁長官)によると、広域連携は南東北や北関東、中国地方などでも進められ、県域にかかわらず直近のドクターヘリが飛ぶ地域もある。

 河村由子事務局長は「議論を尽くして県民のコンセンサス(意見の一致)をつくることが重要だ」と指摘している。

◆ドクターヘリの広域連携

 東北3県のドクターヘリを県境を越えて運用する取り組みで、取り交わした覚書に基づき4月から試行的に始まった。半年間程度の実績を検証した上で 本格運用に移行する。11月までの約7か月間で計5件(うち本県の出動が3件)の県外出動があった。本県には2機、秋田・岩手両県には1機ずつ配備されて いる。

 (2013年12月6日 読売新聞)