認定NPO法人
救急ヘリ病院ネットワーク
HEM-Net

ドクターヘリを知る
連携 —D-Call Net—

救急自動通報システムD-Call Net

自動車事故にドクターヘリを
D-Call Netは、自動車事故が起きた際に自動でドクターヘリの出勤を要請する「先進事故自動通報システム(AACN)」(※)です。

D-Call Net搭載の自動車が交通事故を起こしたとき、衝突方向や速度、衝撃度、シートベルトの着用の有無などの車両データが、ただちにD-Call Netサーバーに送られます。そのデータから乗員の死亡重症度を自動的に推定し、必要に応じてドクターヘリの出動を要請します。
※先進事故自動通報システム(AACN):AACNは「Advanced Automatic Collision Notification」の略。イベントデータレコーダ(EDR)をエアバッグシステム内に搭載した自動車が交通事故を起こした際に、EDRから自動的に送られてくるデータをもとに一定のアルゴリズムによって乗員の死亡重症度を推定し、消防やドクターヘリ基地病院に知らせるシステム。
D-Call Netサーバーは、過去280万件の国内の事故データを統計的に処理したアルゴリズムによって、受信したデータから事故の状況を分析し、乗員の死亡重症度を推定します。

その情報は、2019年末現在、接続機関(HELPNETが稼働中。ボッシュ、プレミア・エイドは今後参画予定)を通じて、全国728カ所の消防本部と、全国のドクターヘリ基地病院(43道府県、53機、62病院)のほぼすべて(43道府県、52機、60病院)に提供されています。

ドクターヘリの起動を一気に短縮

迅速な初期治療で
救命率の向上に貢献
D-Call Netの導入により、従来の「119番通報→救急車の出動→現場に到着した救急隊が消防署に報告→基地病院へのドクターヘリ出動要請」という流れが大幅に短縮。その結果、交通事故の発生から医師による初期治療までの時間を大幅に短縮させることが可能になり、救命率の向上や後遺症の軽減につながることが明らかになっています。
実証実験で分かった
「17分短縮」の意味
2011年12月にHEM-Netがトヨタ自動車と共同で行ったD-Call Net運用の実証実験で、治療までの時間を17分、短縮できることが証明されました。心臓や呼吸が停止してから、あるいは多量の出血が起こってから、何分経過すると死亡率が上がるかを示す「カーラー救命曲線」によると、心停止から3分後、呼吸停止から10分後、多量出血から30分後には、死亡率が5割になります。

治療開始までの時間をいかに短縮するかが、救急医療の生命線。「17分」という時間は、とても大きな意味を持ちます。すべての車両をD-Call Netでカバーできると想定すると、交通事故死亡者を年間282人も減らす効果に相当します。

広がるオールジャパンの取り組み

D-Call Netは、国の「第10次交通安全基本計画」(2016~2020年度)が積極的に取り入れることとしている「交通安全の確保に資する先端技術」に位置づけられています。国民が公平に受けられる無料の公共サービスであるドクターヘリをD-Call Netによって起動し、交通事故死の減少につなげるためには、国内を走るすべての車両にD-Call Netを搭載することが必要です。そのためには、すべての自動車メーカー、サービスプロバイダ、そしてHEM-Netが “オールジャパン体制”で取り組まなければなりません。自動車メーカーとして、初期から開発に携わったトヨタやホンダに続き、2019年春から日産やSUBARU、マツダが参画しています。また、輸入車についてもボッシュサービスソリューションやプレミア・エイドがD-Call Netのサービスプロバイダに加わる予定です。
1.医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院 (北海道)
2.旭川赤十字病院 (北海道)
3.市立釧路総合病院(北海道)
4.釧路孝仁会記念病院 (北海道)
5.市立函館病院 (北海道)
6.八戸市立市民病院(青森県)
7.青森県立中央病院(青森県)
8.秋田赤十字病院(秋田県)
9.山形県立中央病院(山形県)
10.岩手医科大学附属病院(岩手県)
11.仙台医療センター(宮城県)
12.東北大学病院 (宮城県)
13.福島県立医科大学附属病院(福島県)
14.獨協医科大学病院 (栃木県)
15.前橋赤十字病院 (群馬県)
16.水戸済生会総合病院 (茨城県)
17.国立病院機構 水戸医療センター (茨城県)
18.埼玉医科大学総合医療センター(埼玉県)
19.日本医科大学千葉北総病院 (千葉県)
20.君津中央病院 (千葉県)
21.信州大学医学部附属病院 (長野県)
22.厚生連佐久総合病院佐久医療センター(長野県)
23.新潟大学医歯学総合病院 (新潟県)
24.長岡赤十字病院(新潟県)
25.富山県立中央病院(富山県)
26.石川県立中央病院(石川県)
27.山梨県立中央病院(山梨県)
28.岐阜大学医学部附属病院(岐阜県)
29.聖隷三方原病院(静岡県)
30.順天堂大学医学部附属静岡病院(静岡県)
31.愛知医科大学病院(愛知県)
32.済生会滋賀県病院(滋賀県)
33.奈良県立医科大学附属病院(奈良県)
34.南奈良総合医療センター(奈良県)
35.三重大学医学部附属病院(三重県)
36.伊勢赤十字病院(三重県)
37.和歌山県立医科大学附属病院(和歌山県)
38.公立豊岡病院組合立豊岡病院(兵庫県)
39.兵庫県立加古川医療センター(兵庫県)
40.製鉄記念広畑病院(兵庫県)
41.鳥取大学医学部附属病院(鳥取県)
42.島根県立中央病院(島根県)
43.川崎医科大学附属病院(岡山県)
44.山口大学医学部附属病院(山口県)
45.広島大学病院(広島県)
46.県立広島病院(広島県)
47.愛媛県立中央病院(愛媛県)
48.愛媛大学医学部附属病院(愛媛県)
49.久留米大学病院(福岡県)
50.佐賀大学医学部附属病院(佐賀県)
51.大分大学医学部附属病院(大分県)
52.宮崎大学医学部附属病院(宮崎県)
53.鹿児島市立病院(鹿児島県)
54.浦添総合病院(沖縄県)
55.徳島県立中央病院(徳島県)
56.大阪大学医学部附属病院(大阪府)
57.熊本赤十字病院(熊本県)
58.高知県・高知市病院企業団立高知医療センター(高知県)
59.国立病院機構長崎医療センター(長崎県)
60.東海大学医学部付属病院(神奈川県)

課題

2018年4月に本格始動したD-Call Net。新たな課題も出てきました。
例えば、消防隊員での認知度の向上、死亡重症度を推定するアルゴリズムの精度の向上、前席乗員以外にも対象者を広げること、アンダートリアージ(本来は必要だったにもかかわらず、ドクターヘリ搬送を要しないとした判断)を絶対避けるための死亡重症率の閾値の見直し、ランデブーポイントの環境整備、夜間でのドクターカーとの連携などです。

そして、なにより大切なことは普及の促進です。日本の乗用車保有台数は6,000万台ですが、このうちD-Call Netのシステムを搭載した車両は一部に限られているため、約114万台(2020年1月現在)にすぎません。D-Call Netの搭載車両を増やしていくためには、現に使われている車両に対しても、後付けで搭載できるような仕組みを考えていく必要があります。HEM-Netは「後付け(第2種)D-Call Net」の研究グループを立ち上げ、研究を進めています。

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