去る5 月31日、尾辻秀久会長の下、ドクターヘリ推進議員連盟総会が2015年7月以来約2年振りに参議院議員
会館地下109 会議室において開催され、石井みどり事務局長の司会によって議事が進められた。
HEM-Netからは、國松会長、篠田理事長、小濱副理事長及び石川理事が出席し、次の3 項目について要望、説明を行った。①昨年12 月1 日に開催した熊本地震に係るHEM-Netシンポジウム「大規模災害時におけるドクターヘリ運用体制の構築と連携協力」での議論及び同年12月5日に厚生労働省から発出された「大規模災害時におけるドクターヘリの運用体制構築に係る指針」を踏まえて本年3 月に行った2 つの「提言」、すなわち「大規模災害時におけるドクターヘリ運用体制の防災基本計画への位置づけ」及び「強制権を持った臨時的な航空管制体制の法令上の整備」について、② HEM-Netが推進するD-Call Netの来年度からの本格運用について、並びに③HEM-Netによる「ドクターヘリ運航費用の負担の多様化に関する有識者懇談会報告」について。また、これ以外に、④神奈川県におけるドクターヘリ事故と今後の安全対策について、⑤「大規模災害時におけるドクターヘリの運用体制構築に係る指針」について、⑥ドクターヘリパイロットの確保問題について、及び⑦平成30年度予算要望についてが議題として取り上げられ、以上7 つの議題について、内閣府、厚生労働省及び防衛省並びに全日本航空事業連合会及び日本航空医療学会から回答や説明があった。
最後に決議案の審議が行われ、別添のとおり決議されたが、HEM-Netからの要望は全て採択された。
ドクターヘリの全国的配備の推進に関する決議
救急医療用ヘリコプター(以下「ドクターヘリ」という。)を用いた救急医療は、傷病者の救命、後遺症の軽減等の見地から大変有効であり、その全国的な配備の促進が求められている。
これまで我々の取組により、ドクターヘリの配備促進のための予算措置が拡充され、ドクターヘリの導入に関する特別交付税処置がなされ、その結果としてドクターヘリは本日現在四十一道府県に五十一機の導入が進み、順調に増加している。
また、特定非営利活動法人「救急ヘリ病院ネットワーク」(HEM-Net)が継続して実施している、ドクターヘリ特措法に基づく助成金交付事業による搭乗医師・看護師等に対する研修は順調に推移しており、既に百八十二名に上る修了者を出し各基地病院で活躍するなど大きな成果をあげているところである。
更に、昨年四月発生の熊本地震に当たっては、十四機に上るドクターヘリが九州ブロックを中心に隣接ブロックからも被災地に集結し、東日本大震災の教訓を踏まえ、多くの患者の治療、広域医療搬送等に従事した。
ドクターヘリはこのように大きな成果を挙げているところではあるが、近い将来発生が懸念される首都直下地震や南海トラフ地震等に備え、ドクターヘリの更なる配備と充実を図るため、以下の課題について、最大限の努力を行う決意であることを、ここに決議する。
記
一 地域の救急医療体制を総合的に確保するために、国はドクターヘリの全国的配備について必要な予算を確実に確保すること。
二 ドクターヘリの導入に関する地方交付税措置をより一層充実すること。
三 大規模災害時において、ドクターヘリが被災地において機動的、かつ、迅速に救助活動ができるよう防災基本計画に位置づけるとともに航空管制制度の充実を図ること。
四 ドクターヘリを用いた救急医療の提供に要する費用のうち診療に要するものについては、国は診療報酬の対象化も含めた検討を進めること。
五 ドクターヘリの安全な運航の確保のために、ドクターヘリ従事者の育成・確保に対して、国は必要な支援を行うこと。
六 救急自動通報システム(D-Call Net)を全国的に整備し、迅速なドクターヘリの起動につなげ、交通事故死亡者の減少を目指すこと。
平成二十九年五月三十一日
ドクターヘリ推進議員連盟
会長 尾辻 秀久