関西広域連合が新たに配備を目指す六機目のドクターヘリの拠点が、済生会滋賀県病院(栗東市)に決まった。ドクターヘリの県内配備は初めてで、長浜市など県北部にも短時間で駆けつけられ、救急救命効果の向上が期待される。運行開始は二〇一六年度の予定。
広域連合の広域救急医療計画で県全域と京都府南部をカバーするヘリの配備方針が示され、県と京都府が協議。救急対応できる医師、看護師が各五人以上いることなどを踏まえ、同病院とすることでまとまった。
県は一〇年から大阪大病院(大阪府吹田市)を基地とするヘリを活用。翌一一年度からはこのヘリが広域連合として使われるようになり、県内では同年度九回、一二年度十二回、本年度も既に十回、出動している。
救急患者は一一九番からおおむね三十分以内に初期治療に当たることが後遺症などを大きく軽減するとされ、ヘリ対応では半径七十キロ圏程度が限界。阪大病院から県北部までは百キロを超え、課題となっていた。
県医務薬務課によると、新たに配備するヘリは年間百二十件の出動を想定しており、運行費用は年間約二億円。うち半分を国の補助金、残りについては交付税措置を求める。
ドクターヘリは現在、三十五道府県に四十一機が配備され、県内でも配備を求める声が強かった。数年前から県議会などで訴えていた九里学県議(民主)は「湖国に翼が広がることになり大変うれしい。県民の安心、救命率向上につなげてほしい」と話した。
ドクターヘリをめぐっては県単独配備を求める声もあったが、同課は「同時発生的に要請があった場合に連合の方が応援を得やすい」と説明。広域連合のヘリは阪大病院のほかに和歌山県立医大病院、徳島県立中央病院、豊岡病院(兵庫県)に配備され、十一月には加古川医療センター(同)で運行が始まる。
(井上靖史) (2013年10月23日 中日新聞)