ドクターヘリ導入から2年 市民や医療関係者、役割や可能性探る
県が導入して丸2年を迎えたドクターヘリをテーマにした公開対談「地域と医療」が6月29日夜、出雲市渡橋町の出雲ロイヤルホテルであり、参加者は、ドクターヘリが地域医療で担う役割や今後の可能性について考えた。
6月中国5県による広域連携体制が整ったことから、出雲、出雲中央、出雲南の3ライオンズクラブが主催し、医療関係者や一般市民約100人が参加した。
対談には、認定NPO法人救急ヘリ病院ネットワーク(HEM-Net)理事長の篠田伸夫氏、島根県病院事業管理者の中川正久氏が出席。コーディネイターを山陰中央新報社の高尾雅裕論説副委員長が務めた。
篠田氏は、ドクターヘリが、35道府県に41機配備されていることを紹介したうえで「隣県同士がカバーし合う運用はあるが、5県がブロックで相互乗り入れをする広域連携は全国でも珍しい」とした。
中川氏は、島根県西部の患者や家族は交通の便などの理由から、松江よりも広島の病院にかかる機会が多いとして「県境で区切るのではなく、患者さんの生活圏を意識し、医療体制を整えることが必要」と説き、ドクターヘリによって進む広域連携の動きを歓迎した。
さらに篠田氏は、HEM-Netで進めている最先端の研究を紹介。車に搭載したコンピューターが交通事故時の衝撃から運転手の傷害を予測し、消防などに救助要請を送るシステムを挙げ「ドクターヘリと連動させることでより迅速な救助につながる」と期待を寄せた。
(2013年7月1日山陰中央新報 要訳)