岩手県の「ドクターヘリ」の運航が8日、同県矢巾町の岩手医大付属病院移転予定地内のヘリポートで始まった。
県によると、全国で35機目の導入で、北海道に次ぐ広大な面積を持つ県内全域で30分以内の現場到着が可能となる。東日本大震災では自前のドクターヘリがなく、北海道や青森県など他自治体の7機が活動した。
この日のセレモニーで岩手県の達増拓也知事は「震災でも沿岸からの患者搬送などでドクターヘリは大きな役割を果たした。今後の効果も期待したい」とあいさつ。医師と看護師を乗せたヘリが約3分間、上空を旋回すると、出席者から大きな拍手が上がった。
ドクターヘリは消防からの要請でヘリポートから出動。救急現場で初期治療をした後、ヘリと救急車を乗り継ぎ、医療機関に搬送する。搬送先は、搭乗する医師が県内11病院から判断する。
岩手県は2008年度からドクターヘリ運航に関する計上していたが、導入は本年度からの予定で、震災時は配備されていなかった。昨年8月に策定された県の復興基本計画に、あらためてドクターヘリの導入と搬送拠点の整備などが盛り込まれた。〔共同〕 (2012年5月8日 日本経済新聞)