千葉県印西市にある日本医科大千葉北総病院救命救急センター長の益子邦洋さん(62)が、ドクターヘリ・システムについて紹介する「『攻めの救急医療』15分ルールをめざして」(へるす出版新書)をこのほど出版した。
ドクターヘリは現在19道府県23カ所に配備され、有効性が認められて来年度末までには30カ所を突破する見通し。同病院は01年から運用する最も古い基地病院の一つで、年間700回以上と日本有数の出動回数を誇る。益子さんはその発足当時から現在まで一貫してシステムを指揮。その経験を中心に、システムの仕組みや救命例などをわかりやすく書いた。
「ドクターヘリは増えていますが、あくまで一つの手段。救える命を救うためには、いち早く医師と患者を接触させる救急体制を地域全体で作ることが重要」と強調する。ドイツでは救急患者と医師が15分以内に接触できるよう社会資本を整備せよという「15分ルール」を法律で定めている。日本にも同様なルールが必要だと強く訴えている。【黒川将光】 (2011年1月15日 毎日新聞)