助成や広域連携で弾み
医師を乗せて患者のもとに向かう救急医療用ヘリコプター(ドクターヘリ)を導入する自治体が増えている。2012年度までに新たに13県が導入を計画中で、これで37道府県に配備されることになる。医師の確保や運航経費などが課題だったが、国による地方負担の軽減策により全国各地を広域にカバーする態勢が整いつつある。
高知県は9月補正予算に導入・運航経費など5900万円を盛り込んだ。11年3月に運航開始の予定で空白地帯だった四国で初の導入となる。
山口県、岐阜県も今年度内に運航を始める予定。11年度には、秋田、三重、島根、熊本、宮崎、鹿児島の6県が配備を計画している。12年度末までには37道府県に広がり、徳島など4県も将来の導入を検討中だ。
ドクターヘリは年2億1000万円程度の経費を国と都道府県が折半し、企業に運航を委託する仕組み。国は09年春から地方負担分の半額を特別交付税で賄い、今春から財政の厳しい自治体には負担額を8割まで引き上げた。地方の負担軽減で普及に弾みがついた。
課題となるのがヘリに乗り込む救急専門医や看護師の不足だ。11年度後半に導入を予定する三重県は県内2病院を拠点とし輪番制で医師を確保する。今年7月に運航を始めた茨城県も同様の仕組みを採用している。
自県では運航せずに他県からの乗り入れで対応する自治体もある。滋賀県は大阪府と協定を結び、11年1月をめどに大阪大医学部付属病院(大阪府吹田市)のヘリの共同利用を始める計画だ。
ただ、財政事情が厳しい中、運航経費を国頼みでいられるかどうかは不透明だ。07年に施行されたドクターヘリ特別措置法では、安定的な財源確保のために3年後をめどに医療保険の適用を検討するとしていたが見通しは立ってない。(2010年11月20日 日本経済新聞)