兵庫県豊岡市の公立豊岡病院を拠点に兵庫県北部と京都府北部、鳥取県東部で運航されている医療用ヘリコプターの出動件数は、運航初年度にあたる昨年4月から今年3月までで847件に達した。豊岡病院が発表した。国内で最も多い出動件数という。
ヘリは昨年4月17日に就航。出動件数のうち622件(73%)が救急現場、103件(12%)が病院などの施設間搬送、出動後に軽傷(症)や死亡が判明するなどして引き返したキャンセルが122件(14%)。府県別は兵庫634件(74%)、京都180件(21%)、鳥取33件(3%)。
原因別は病気などの内因性が54%、事故などの外因性が46%。症状別ではくも膜下出血や脳梗塞(・こう・そく)などの中枢神経疾患が25%と最も多く、交通事故による外傷が22%、心臓・血管疾患が16%と続いた。
悪天候で終日飛べなかったのは就航後349日間のうち15日間、うち11日は降雪が多かった1月だった。要請があっても悪天候で出動できなかったケースは110件あったが、90件は兵庫県北部の3市2町で運行する救急車で対応した。
豊岡病院・但馬救命救急センター長の小林誠人医師は「外傷の重症者の救命率が2~3倍に上がるなど効果が発揮されている。ヘリが要請されるべき事案がまだ隠れていると考えており、出動要請が少ない消防機関にヘリの有効性を説きたい」と話した。 (2011年4月27日朝日新聞)