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茨城県 ドクターヘリ7月運航 <読売新聞>
2010.04.19

 出動要請 的確な判断を

 ドクターヘリが7月、運航開始を予定している。県央の二つの医療機関を拠点に、県内全域を約20分でカバーする機動力が最大の特徴だ。救命率の向上や後遺障害のリスク軽減に結びつけるためには、出動を要請する消防側の的確な判断や、医療機関と消防との連携をいかに深めるかがポイントになる。(野村幸江)

 ドクターヘリは、救命救急センターを持つ水戸医療センター(茨城町)と水戸済生会総合病院(水戸市)を基地病院とし、県内の26消防本部や医療機関などから要請を受けて出動する。救急医療専門の医師や看護師が同乗するため、治療開始までの時間を短縮できる。日~火曜日は水戸医療センター、水~土曜日は水戸済生会総合病院が担当する。

 出動要請後、負傷者や患者が比較的軽症だと判明した「オーバートリアージ」の場合、出動を取りやめることもできる。このため県では、〈1〉要請判断について消防などの責任を問わない〈2〉一定のオーバートリアージは容認する――ことなどを定めたマニュアルを作り、関係機関に周知する方針。県医療対策課は「出動要請をためらい、本当に必要な治療ができないのは避けなければならない。必要と判断した場合は、積極的に要請してもらいたい」と説明している。

 県は19日から、各消防本部との連携をスムーズにするため、運航開始後の担当曜日に合わせて両病院からヘリを出動させ、患者搬送までを確認する訓練を行う。 

稲敷、龍ヶ崎など6市町村を管轄する稲敷地方広域市町村圏事務組合消防本部は2004年7月、千葉県印西市の日本医科大千葉北総病院を基地病院とする同県のドクターヘリの共同利用を始めた。ヘリは同本部の要請に基づき、年平均で33・5回出動。内訳は交通事故や労働災害、一般負傷などの外因性が8割を占める。同本部では「外見では判断しにくい急病と異なり、事故や労災は現場で救急隊員が要請を判断しやすい」と分析する。

 また、現場での混乱を避けるため、「費用について聞かれたら、要請は無料だが、治療費は保険診療の範囲内で請求されると答える」「現場に家族がいる時は『ドクターヘリを要請します』と声をかける」など、独自の対応マニュアルをまとめた。

 治療開始までの時間短縮のため、119番があった段階でも必要と判断すればヘリを要請することもあるという。同本部の柳林悟救急救助課長は「どういう場合にヘリを要請すべきなのか、消防全体で理解を深めることが欠かせない」と話している。 

 (2010年4月18日読売新聞 要約)