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加古川にドクターヘリ 搬送25分短縮 兵庫県〈読売新聞〉
2013.12.05

 医師や看護師が同乗して重篤な症状の患者の元に向かう「ドクターヘリ」の就航式が30日、兵庫県加古川市神野町の県立加古川医療センターで行われた。

 同センターを基地病院とし、これまで県などの消防防災ヘリで行ってきた播磨地域への出動を担う。以前より20~25分の搬送時間の短縮が見込まれ、救命率の向上や後遺症の軽減が期待される。

 今回のドクターヘリは人工呼吸器、除細動器、患者監視モニターを備え、搬送中でも気道確保などの医療行為が可能。原則、午前8時半から日没まで、センターから50~70キロ圏内の播磨地域と篠山市をカバーする。

 同地域では、これまで県と神戸市の消防防災ヘリが患者の搬送を担っていたが、出動要請の重複や専用の機材の積み替え、離着陸地点の選定で、離陸まで15~30分かかっていた。

 しかし、今回は、あらかじめ管内の消防と421か所の離着陸地点を取り決め、手続きを省いて到着までの時間を短縮。要請から約5分で離陸でき、約50キロ離れた宍粟市や佐用町にも約15分で到着する。

 乗り込むのは医師と看護師、操縦士、整備士の計4人。患者は2人まで搬送できる。救急医15人と看護師6人が交代で待機し、出動に備える。今後、実地訓練などを通じて出動できる人員を増やしていくという。

 この日の就航式では、同センターの千原和夫院長が「ドクターヘリは『空飛ぶ救急室』が現場に向かうというもの。多くの命を救う責務を果たしたい」とあいさつ。交通事故で重傷者が出たとの想定で、医師と看護師が乗り込むデモンストレーションも行われた。

 担当医の宮本哲也医師(46)は「救急現場では1分1秒が生死を分ける。事故での救命だけでなく心筋梗塞など素早い処置が必要な患者も多く助けられるはずです」と話した。(長尾尚実)

  (2013年12月2日 読売新聞)