◆県、重症事例109人を検証
県は17日、医師が同乗して患者を救急搬送する「ドクターヘリ」を昨年8月に導入した結果、救急治療の開始が平均で31分短縮し、21人の重症者が死亡することを防げたとする評価を明らかにした。関係機関による委員会で実績を報告した。
県によると、救急現場で治療した救急専門医が、搬送先からの報告などに基づいてドクターヘリで搬送した109人の重症事例を検証した。
ドクターヘリがなかった場合は66人が亡くなるケースだったが、ドクターヘリにより死者は45人に減らせたと評価した。後遺症を抱えるケースも、24人から16人に減らせたとした。各消防職員の出動要請を受けてからドクターヘリが到着して同乗の医師が治療を開始するまでの時間は平均18分だった。119番通報を受けてから救急車が患者を医療機関まで搬送した時間の平均49分と比べて、治療開始時間が大幅に短縮した。
ドクターヘリの運用が始まった昨年8月24日から今年3月31日までの221日間のうち出動可能だったのは214日間で強風や暴風雪で全日運休したのは7日間だった。視界不良や機体補修などで一時運航を見合わせたのは26日間だった。
337件の出動要請があり、実際に出動したのは288件で、出動後にキャンセルしたケースが49件あった。岐阜県と共同運航している飛騨・高山地域への出動は7件だった。
(2016年5月18日 読売新聞)