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八戸のドクターヘリ暫定導入 1カ月 <河北新報>
2009.04.27

八戸市の八戸市民病院に暫定配置された青森県のドクターヘリが運航を開始して25日で1カ月になる。この間の出動回数は計11回。県民の「救える命を救う」という目的を果たす一方、出動要請判断の難しさや自治体に重荷となる運航経費の負担方法など課題も見えてきた。

 ヘリ導入は、東北では福島に次いで2例目。医師と看護師、ヘリの操縦士など6人乗りで、人工呼吸器や心電図などの医療機器を備え、重症患者に対応する。

 出動要請は、配備先の八戸地方が7件と過半数を占めた。配備先から離れた青森、弘前、五所川原地方からの要請はわずか1件ずつにとどまった。
 ヘリは消防本部の要請を受けて出動する。課題は、出動要請が必要かどうか判断の難しさだ。

 12日に弘前市内で起きた交通事故では、消防が出動要請したものの、その後、重症ではなく救急車での搬送が可能と判断してヘリが途中で引き返した。
 消防関係者は「患者の容体は変わるので、状況判断は難しい。医療機関との綿密な連携が求められる」と指摘する。

 運航時間帯がネックとなった例も。山間部など「へき地」での夜間飛行は難しく、安全確保のため、運航時間は午前8時から午後5時に限られる。午後5時を過ぎ、日没までに戻れる見込みがないため、出動を見送った例も1件あった。

 八戸市民病院救命救急センター所長の今明秀医師は「少しでも緊急性が高いと判断したら、要請してほしい。結果的に出動の必要がなかったとしても、救える命が救えればいい」と話す。

 活動の浸透とともに出動回数の増加が見込まれ、自治体への負担もその分、重くのしかかってくる。県によると、ヘリの年間運航経費は1億7000万円を予想。このうち半分が県単独負担となる。

 総務省は3月、自治体負担を軽減するため、運航費に対する特別交付税の財政支援を打ち出した。ところが、特別交付税による補充額は「総務相が調査して決めた額」とされ、明確でない。「どの程度、補充できるかはまだ分からない」(医療薬務課)という。

 また、青森県特有の課題も残っている。ヘリの八戸配備は、県立中央病院(青森市)のヘリ受け入れ態勢が整うまでの「暫定措置」。「暫定」の期間はいつまでか、中央病院の整備終了後は配備先はどうなるのか。結論はまだ出ていない。

 八戸市も約3000万円の予算を投入してヘリポートや格納庫を整備しており、中央病院の整備状況と並行して、県と市の意見調整が求められる。 (2009年4月25日河北新報より要約)