総務省は3月、自治体負担分の半分を特別交付税で充てるよう省令を改正した。08年度分の3月末から実施し、今年度も続ける方針という。超党派の「ドクターヘリ推進議員連盟」が昨年11月に出した交付措置の充実を求める決議が直接のきっかけ。これとは別に、厚生労働省は今年度、計24機分の予算を確保した。うち8機分は政府の「重点化枠」だ。補助金はこれまで各都道府県1機分だったが、今年度からは複数機が対象になる。
05年4月に札幌に1機導入した北海道は今年度に2機追加し、道東の釧路と道北の旭川に配置する予定だ。京都、兵庫、鳥取の3府県は10年4月に共同運航の開始を目指す。北海道の担当者は「財政が厳しい中で複数機を運航するので追加支援はありがたい」と話す。
交通事故の犠牲者を救うためドイツや米国などでは70年代から普及した。日本では01年4月、川崎医科大学付属病院が本格運航の最初。厚労省は全国配備を目指してきたが、8年間で16道府県の18機にとどまる。
川崎医科大の小濱啓次名誉教授は「1回飛ぶと40万円はかかるが、救急車と同じ無料にこだわった。そうしないと誰も利用できなくなる。日本で導入が進まなかったのは、自治体が負担する費用面が大きい」と指摘する。
厚労省が示す年間の運航費の基準額は約1億7千万円。国と都道府県が折半するが、財政難で足踏みする自治体が多かった。
今回の措置で自治体の負担は軽くなるが、課題も残る。補助金の基準になる出動回数は年240件で計算されてきたが、07年度千葉県(687件)や岡山県(475件)のように基準を上回る自治体も多い。
上回った分は拠点病院かヘリコプター運航会社、自治体いずれかの負担になる。ヘリ会社出身で日本航空医療学会に西川渉監事は「欧米では年間1千回飛ぶ場合もある。実態に応じた計算方法に見直すべきではないか」と話す。 (2009年4月8日 朝日新聞 要約)