富山県ドクターヘリで搬送した患者の予後を県立中央病院が分析した結果、救急車で搬送した場合と比べ、死者と後遺症が残った人をともに半減させる効果があった。覚知から治療開始までの時間も平均四十二分短縮した。(豊田直也)
ドクターヘリが今月一日までに搬送した重症の三十九人の予後を分析した。ヘリ搬送によって死者は十二人、後遺症となったのは五人、軽快したのは二十二人だった。仮に救急車で搬送した場合では、治療開始までの時間がかかるなどして死者二十四人、後遺症が残るのは十一人、軽快したのは四人になったとみられる。ヘリ導入で、死者と後遺症を半減させる効果があったことが明らかになった。
ヘリ要請から治療開始までの時間は、十二月一日までの七十症例の平均で十九分だった。ヘリがなかった場合は覚知から治療開始まで平均六十一分と推定され、四十二分の短縮効果があり、患者の予後の改善につながった。立山の山岳地域から搬送した九例を除いた六十一例でも、ヘリは平均十九分で治療を開始。ヘリがなかった場合と比較し、三十三分の短縮効果があった。
富山県ドクターヘリは八月二十四日に運航開始し、今月七日までに百十四件の出動要請があり、出動は百四件。これまで強風で全日運休となったのは二日あった。
一時運航を見あわせたのは十日で、強風が三回、視界不良が五回、機体補修が二回だった。
(2015年12月12日 中日新聞)