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ドクターヘリ期待上昇 佐賀〈読売新聞〉
2014.01.14

  佐賀県は今月、医師や看護師を同乗させて患者を搬送する「ドクターヘリ」の運航を始める。

 これまで福岡、長崎の両県のヘリを共同運航していたが、単独運航になると、県内全域を15分でカバーできるようになり、救命率の向上などが期待されている。

 県によると、福岡とは2003年秋から、長崎とは09年秋から、それぞれ共同運航を開始。ともに県内を約20分でカバーできたため、九州で佐賀だけが独自のヘリを持っていなかった。

 しかし、10年度に87件だった佐賀の出動件数は、12年度には170件に急増。長崎では、共同運航を始めた当初の約2倍の約700件に達するなど、両県で出動件数が増え、佐賀の救急患者に対応ができない懸念が出ていたという。このため、佐賀では、リース代など年間2億1000万円を投じ、ヘリ導入を決めた。

 ヘリは米国製の「Bell 429」(最大搭乗人員7人)で、最大時速は260キロ。自動体外式除細動器(AED)や酸素ボンベ、心電図モニターなどの救急専用の医療機器を備え、佐賀大付属病院(佐賀市)を基地病院とし、県内全域を15分でカバーし、午前8時30分から日没30分前まで出動できる。

 ヘリは、各地の消防機関からの要請を受けて出動。重篤な患者については、佐賀、唐津、嬉野市内の計4か所の救命救急センターに搬送する。各署では要請が遅れないように、119番通報の中で「意識がない」「体が痙攣(けいれん)している」など、出動が必要とみられる言葉が含まれていた場合、無条件で出動を要請するマニュアルも整備した。

 県はすでに、ヘリの臨時離着陸場を県内151か所に整備しており、7~15日に計8か所で訓練を行った後、17日にも運航を開始する予定。9日は、伊万里市消防本部のグラウンドで患者をヘリに収容する練習などを行った。

 県医務課は「搬送時間の短縮で、救命率の向上や後遺症の軽減が期待できる。将来的には福岡、長崎、佐賀の3県でヘリ3機を共同運航し、より効果的な運用を目指したい」と話している。(小山田昌人)

(2014年1月10日 読売新聞)