青森県立中央病院は7月中にも、八戸市立市民病院など県内4病院との間で、ドクターヘリによる生後4週未満の新生児搬送を始める。新生児の中でも特に体重1500グラム未満の場合は体が未発達で、急激な血圧上昇による脳内出血などで亡くなる可能性が高い。これまで重篤な症例は、治療経験が豊富な県病の新生児集中治療室(NICU)にドクターカーで搬送していたが、ヘリによる移動時間の短縮や搬送時のストレス低減で救命率を高めるのが狙いだ。
新生児を確実に治療したり、容体悪化に早く気付いたりするためには、専門の医師や看護師の高い技術と経験が必要。県内では県病が代表的な存在で、県内で生まれた未熟児のうち、体重千グラム未満の約9割を受け入れている。
八戸市民病院から県病までの移動時間はドクターカーで2時間かかるが、ヘリの活用で25分に短縮される。未熟児の血管は細く、移動時の振動で破裂する危険性もあるが、今後は影響を大きく減らせるという。
ヘリポートが併設もしくは比較的近くにある八戸市民病院、むつ総合病院、三沢市立三沢病院、弘前大医学部付属病院と連携する。月内の運用開始を目指し、運航マニュアルを作成中だ。
2日には、むつ総合病院との間で運用訓練を行った。県病新生児科の網塚貴介部長は「まずは運用を始めて、より多くの命を助けたい」と強調した。
一方、現行の制度では安全管理上、国の認可を受けた県病の専用保育器以外はヘリに載せられず、各病院から保育器ごと搬出できないのが課題。
むつ総合病院小児科の中畑徹部長は、県病との連携を歓迎しつつも、「他の病院の保育器を搭載できるようにしてほしい」と述べ、制度を見直す必要性を指摘した。(佐々木琢磨、福田駿)
(2013年7月3日 デーリー東北新聞社)