県は13日、医師や看護師が搭乗して救急現場に駆けつける医療用ヘリコプター(ドクターヘリ)の運航を始めた。県西部を中心に医師不足が深刻化する中、現場で医師による早期の対応が可能となり、患者の救命率向上などが期待される。ドクターヘリ導入は全国の都道府県で25番目。
ドクターヘリは人工呼吸器、心電図などの機器や医薬品を搭載。出雲市の県立中央病院を基地病院とし、各地の消防本部から要請を受けると医師らを乗せて5分以内に離陸する。離陸から40分以内で県内ほぼ全域に到着可能。患者の処置を行った後、県内外の22病院まで搬送する。
この日午前11時58分に早速、雲南消防本部から要請があり、医師1人と看護師1人を乗せて午後0時11分に県立中央病院を離陸。雲南市の野球場に着陸して呼吸状態が悪かった80代男性を収容し、同54分に病院へ戻った。
県は年間出動回数を約400回と想定しており、運営費は年間約2億1000万円。
運航開始式で溝口善兵衛知事は「県内どこにいても必要な救急医療が受けられるようになる」とあいさつ。同病院救命救急科の山森祐治部長(50)は「チームワークをしっかり発揮し、質の高い医療を展開したい」と話した。【細谷拓海】 (2011年6月14日毎日新聞)