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東日本大震災 ドクターヘリ、懸命の救出 <公明新聞>
2011.03.28

“空飛ぶ救命救急センター”

被災地に16機が集結 重病新生児、患者らの命つなぐ

空飛ぶ救命救急センター”と呼ばれるドクターヘリ―。東日本大地震の発生後、16道府県の16機が直ちに被災地に派遣され、負傷者や入院患者らの懸命の救出活動に当たった。

ドクターヘリが小さな命を救った―。地震発生の前日に生まれ、仙台市青葉区の病院に入院していた男児が19日、ドクターヘリで静岡市の静岡県立こども病院に搬送された。

この新生児は重い心臓病を抱えており、被災地では万全の治療態勢が取れないでいた。男児は「予断は許さないが容体は安定している」(同病院)という。静岡県(聖隷三方原病院)のドクターヘリが出動した。

「とにかく津波警報が鳴る中での懸命の作業でした」。こう語るのは、災害派遣医療チーム「DMAT」として群馬の前橋赤十字病院から派遣された町田浩志医師だ。宮城県石巻市で、津波で破壊された市立病院からの患者救出に当たった。

100人を超す患者の搬送に8病院29人のDMAT隊員とドクターヘリ7機が参加、後に自衛隊ヘリも加わり救出は深夜に及んだ。

地震発生の翌日、ドクターヘリで被災地入りした山口大学医学部附属病院・高度救命救急センターの笠岡俊志准教授も、石巻市立病院の患者らを搬送した。笠岡准教授は「医療行為を続けながら患者を運べる点が防災ヘリとの違いだ」と、その有効性を強調する。

今年3月、四国で初めて高知県に導入されたドクターヘリの初出動は、東日本大震災の被災地派遣だった。津波被害が甚大な岩手県大船渡市や釜石市からの患者搬送に力を発揮した。

被災地に出動したドクターヘリ
都道府県 基地病院
北海道 旭川赤十字病院
青森県 八戸市立市民病院
福島県 福島県立医科大学附属病院
栃木県 獨協医科大学病院
群馬県 前橋赤十字病院
埼玉県 埼玉医科大学総合医療センター
千葉県 日本医科大学千葉北総病院
長野県 佐久総合病院
岐阜県 岐阜大学医学部附属病院
静岡県 聖隷三方原病院
愛知県 愛知医科大学附属病院
大阪府 大阪大学医学部附属病院
兵庫県 公立豊岡病院組合立豊岡病院
山口県 山口大学医学部附属病院
高知県 高知医療センター
福岡県 久留米大学病院

(厚生労働省調べ)

来年度中に38都道府県に配備

現在、ドクターヘリは、公明党が実現した特別措置法(2007年制定)に基づき、全国配備が進んでいる。

12年度中には38都道府県にまで拡大する予定だ(東京都は独自方式)。

藤田保健衛生大学医学部 野口宏教授に聞く
公明党が救急医療現場の悩みを改善して全国的な配備が進んだ

ドクターヘリの全国的な配備などを後押ししてきた藤田保健衛生大学医学部の野口宏教授に話を聞いた。

大震災が起きてから、初動段階だけで、少なくとも100人以上の重症患者を搬送したと聞く。ドクターヘリの特徴である「小回りの良さ」が生かされた結果だ。搬送する“道”が空路であれば、がれきで道路がふさがっている陸路よりも、格段の速さで重症患者を安全な場所へ、ピストン輸送できる。

また、ヘリに医師を搭乗させているので、早くから現場あるいは搬送中にも患者に医療行為ができるのも大きい。全国各地のドクターヘリのさらなる活躍を期待したい。

私は約30年にわたって、災害医学、救急医療に携わってきたが、公明党は、現場で悩んでいることをすぐに受け取り、改善してくれる。

ドクターヘリも、こちらが「こういうのがあれば」と思うことを公明党の皆さんが具体化してくれた。国ではドクターヘリの全国配備を促進する特別措置法の制定を、地域では公明党の地方議員が後押ししてくれた。「悩んでいる時、気がつけば公明党」という印象だ。

それだけではない。公明党は、救急救命士の誕生をはじめ、救急現場や搬送中に高度な医療処置を行うことで救命効果を高める「プレホスピタルケア」(病院前救護)にいち早く取り組んできた。常日頃から地域住民と密接につながっている公明党の活動に今後も期待したい。

のぐち・ひろし 1943年生まれ。名古屋市立大学大学院医学研究科修了。愛知医科大学名誉教授、愛知医科大学名誉教授、愛知県救急医療情報センター統括センター長、NPO法人「救急ヘリ病院ネットワーク」理事

(公明新聞2011年3月28日)