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鹿児島県と米盛病院がドクターヘリの補完協定を締結 10月1日全国初の補完運航開始
2014.10.01

 株式会社エス・エム・エス(東京都港区、後藤夏樹社長、東証一部上場)が病院経営をサポートする鹿児島市の「米盛病院」(米盛公治理事長兼院長、295床)が、全国初となる「鹿児島県ドクターヘリの救急患者搬送に関する補完協定」を鹿児島県と締結し、10月1日より運航を開始することになった。これは、公的事業である「鹿児島県ドクターヘリ」の稼動を民間の米盛病院が運航する医療用ヘリコプター「レッドウイング」がサポートする協定。
 鹿児島県保健医療福祉課によると、県のドクターヘリは2011年12月から、奄美を除く県内で運航を開始、2012年は591件、2013年は835件の出動があり、ドクターヘリ出動中に出動要請が重なる『重複要請』は、2012年に65件、2013年に96件と急増している。今回の協定は、この『重複要請』の軽減が目的で、重複要請の発生時に民間医療用ヘリ「レッドウイング」が出動することにより、平行して2件のドクターヘリ出動要請に対応することが可能となる。また、多数傷病者発生事案時には、ドクターヘリと同時出動することにより、救急救命率の改善、PTD(防ぎ得た外傷死)の減少に大きく貢献できる。
 さらに、重複要請の補完に加えて、大規模災害時のドクターヘリ補完機能も期待される。大規模災害が発生し、県ドクターヘリが他県に派遣された場合、米盛病院の「レッドウイング」が、ドクターヘリ運航を代行し、鹿児島県の救急救命を担うことができる。
 米盛病院は、この「レッドウイング」や自ら所有するドクターカーへの指令や業務調整を行うために、県・市の消防などとの調整を行う「救急調整室」を設置している。スタッフ6名は救急救命士の資格を有し、「レッドウイング」との無線連絡を担当する運航会社との連携や、ドクターカー・救急車とのランデブーポイントの調整など、消防指令本部のような活動をする。この救急調整室の機能により、県ドクターヘリとの連動も可能となり、いっそう適切な補完運航を実現する。
 今回の協定では、「レッドウイング」の運航費用を米盛病院が自己負担することで、県財政への負担軽減にも寄与する。また、県は重複要請事案を含めた情報を速やかに米盛病院へ提供することにより、救命率を向上し、鹿児島県民の医療サービスの拡充が可能となる。
(Medicine Mail、2014年10月1日付より要約)