HEM-Netは、ドクターヘリ特別措置法第9条にいう「助成金交付事業」を行う日本で唯一の非営利法人として、「ドクターヘリ支援基金」を創設し、政府や都道府県などからの公的援助は一切受けず、民間の企業・諸団体・個人から資金を募って、2010年度から2021年度までの12年間にわたり、ドクターヘリ運航基地病院の開設者に対し、「助成金交付事業」を行ってまいりました。
具体的には、HEM-Netが、「ドクターヘリ支援事業」と呼称して実施してきた
の3事業であります。
我が国のドクターヘリは、2022年4月の香川県への導入をもって、全都道府県配備を完了しますが、①の「ドクターヘリ搭乗医師・看護師等研修助成事業」も、2022年3月31日までに、全国のドクターヘリ運航基地病院で活動する医師・看護師220名に対し、充実したOJT形式の実務研修を実施し終えて、ほぼ事業目的を達成することができましたので、同日をもって終了することといたします。
また、②および③の2事業については、調査・研究の助成は4件、「安全研修会」を実施した基地病院は35病院に止まり、まだ道半ばの感がありますが、制度設計に再検討を要するところもあり、3事業のうち最も主要な事業である「ドクターヘリ搭乗医師・看護師等研修事業」が終了する機会にあわせて終了することとし、今後は、装いを新たにして、HEM-Netの一般事業の中で再出発させたいと考えております。
以上のとおり、「ドクターヘリ支援事業」は、2022年3月31日をもって終了いたしますので、これらの事業を支えてきた「ドクターヘリ支援基金」も、同日に終了することといたします。
2010年度から2021年度までに寄付の総額は、1億8016万4209円であります。
助成実績は、「ドクターヘリ搭乗医師・看護師研修助成事業」に対し1億1260万8141円、「調査・研究助成事業」に対し362万円、「安全研修会助成事業」に対し671万5513円であります。3事業のうち、「ドクターヘリ搭乗医師・看護師研修助成事業」への助成額の占める割合は91%にのぼり、HEM-Netが、いかにこの事業に注力してきたかが如実に示されております。
なお、「研修調整委員会」の開催など、事業の遂行に要した業務管理費は、総額4443万3372円で、これを加えて「ドクターヘリ支援基金」からの支出総額は、1億6737万7026円となります。
したがって、「ドクターヘリ支援基金」の執行残が、1200万円余あることになりますが、これについては、2021年度中における未払金等の会計処理を終えた後、HEM-Netの一般会計に繰り入れることといたします。
以上のとおり、HEM-Netは、「ドクターヘリ支援基金」のおかげで、12年間の長きにわたり、「ドクターヘリ搭乗医師・看護師等研修助成事業」という現場救急医療の「質」の向上に大きな貢献をしたとして高く評価されている事業を遂行することができました。長い間、「ドクターヘリ支援基金」に温かいご寄付をいただきました皆様方に、心から御礼申し上げます。まことに、有難うございました。