◇九州、長崎、大分道の一部も さらに迅速な救急救命へ
久留米大学病院(久留米市旭町)のドクターヘリが来月から、高速道路上での離着陸エリアを広げる。これまで片側3車線の九州道太宰府-久留米間(約25キロ)のみだったが、九州、長崎、大分道の2車線区間の一部でも着陸可能となり、より迅速な救命活動が期待される。
ドクターヘリの導入は02年。福岡、佐賀両県と大分西部地域を飛行範囲とし、年間400回近く出動する。ヘリポートは当初、病院近くにあったが、現在は病棟屋上に設置。ヘリから病院への搬送もスムーズになった。
高速道路への離着陸は06年から。警察や消防など関係機関でつくるワーキンググループで検討。その結果、比較的道幅が広く、通行止めなど規制が片側車線だけで済むことから、この3車線区間で始まった。
この後も検討は続けられ、飛行範囲の九州道門司-みやま柳川▽長崎道鳥栖-嬉野▽大分道鳥栖-湯布院について、送電線の鉄塔や遮音壁などの設置物、道路脇のがけなど着陸の安全性を調査。昨年12月、着陸可能度を4ランクで色分けした道路図を作り、エリア拡大にこぎつけた。
今後、関係する消防機関はこれを基に、通報を受け着陸可能な現場であれば、出動と同時にヘリを要請することもある。
同大学は「現場から治療を始めるのと、搬送後に始めるのとでは、死亡率低下や後遺症の有無に大きく影響する」と説明。今後も、初期治療に素早く着手できるドクターヘリ運行を検討する考えだ。【丸山宗一郎】(2011年1月25日毎日新聞)