HEM-Netドクターヘリ全国展開記念シンポジウムを開催しました
ドクターヘリは2001年の本格運用の開始から21年の歳月を要し、2022年4月18日に
全ての都道府県で運用が開始されました。この間、HEM-Netとしても、ドクターヘリ普及のための諸制度の構築に尽力するとともに未導入の都道府県へ働きかけを行うなど、ドクターヘリの量的拡大のために活動を展開してきました。
HEM-Netでは2022年12月16日に、ドクターヘリの全国展開達成を記念し、「量的拡
大から質的向上へ」と題し、これまでの活動を振り返るとともに、効果的なドクターヘリの運用にための必要な課題を抽出し、これからのHEM-Netの役割について議論するため、全国町村議員会館においてHEM-Netシンポジウムを開催しました。
当日は、篠田理事長が「HEM-Net回顧と展望」と題して基調講演を行い、その後、伊藤
理事をコーディネーターとし、猪口日本航空医療学会理事長、辻全航連ドクターヘリ分科会委員長、由藤共同通信社、岡本札幌消防局長、中村厚労省地域医療計画課室長及び篠田理事長をパネリストとしてパネルディスカッションを行い、最後に國松会長が閉会の挨拶を行って終了しました。
新型コロナウイルスの第8波を踏まえ、リアルとオンラインによるハイブリッド方式で
開催しましたが、会場参加者46名、オンライン参加者206名の計252名のHEM-Netシンポジウム最多の参加者となりました。
なお、当日の質疑応答の内容を以下の通り紹介します。また、シンポジウムの模様を近日
中にアーカーイブ配信をする予定です。
質疑応答
Q:京都はいつドクターヘリが配備されますか? また、どこの病院が基地病院になり
ますか?
A:京都府においては今春の知事選挙の際、現職の知事の公約にドクターヘリの導入が
掲げられていたと聞いています。そこで、現在、検討委員会が設置され、検討中と聞いていますが、残念ながら詳細は不明です。
Q:ドクターヘリ基地病院から異動した『元・フライトドクター』が相当な数、生まれていると思います。各医療機関や地域で、個々の活動としてドクターヘリの啓発活動に携わっている方も多いと思いますが、組織的な活躍の機会があれば、ご教示頂けると幸いです。
そしてできることなら技能維持(実機研修)もさせて頂けるシステムがあると、より良いと思いますが、いかがでしょうか。
A:現在、日本航空医療学会では、ドクターヘリ従事者研修(搭乗者の教育)および、アドバンドコース(主に危機管理にかかわる機体のモックアップを用いた経験者向け実技講習)を行っております。
ご指摘のように、近年ドクターヘリ医療クルー経験者も増えておりますので、リカレント講習の実施も重要な課題と存じます。早速、理事会で検討させていただきます。
貴重なご意見ありがとうございました。
Q:ドクターヘリの理想的な配置に関する基準のようなものはあるのでしょうか。
A:宮嵜県の延岡や福島県南部と栃木県北部、そして島根県の石見地区のような、自県は
もとより他県のヘリも行けない、いわゆる空白地帯が配置の候補と言えるのではないか。それぞれの地域の救急医療体制をどうするのかという中で検討されるものではないでしょうか。
Q:ドクターヘリの夜間運航や高速道路へ降りるといった課題は、全省庁で取り組まなければならない。HEM-Netがそういう働きかけをして欲しい。
A: HEM-NetはNPO法人なのでしがらみが無いのでその役割を果たすよう努力したい。現在全省庁での取組になっていない原因の一つに、周産期医療やへき地医療へのドクターヘリの活用などについて、厚労省の「医療提供体制の確保に関する基本方針」に盛り込まれてなく、救急と災害ということのみ触れられていることもあるのではないかと思われます。