しかるに、わが国における初の救急ヘリとして登場したドクターヘリは、現在までのところ、9道県に10機が配備されるに止まっている。また、ドクターヘリと並んでヘリコプター救急の一翼を担う消防・防災ヘリも、年々、その救急飛行実績は上がってきているものの、1機当たりの平均で見れば、精々10日に一回の救急出動をする程度で、その実績は満足できる域に達していない上、救急医師等を搭乗させて救急現場等に赴くドクターヘリ的な体制をとって運用されているものは、全国で数県にしかない。
救急ヘリの整備を妨げている主な要因としては、次の三つがあると考える。
第一に、救急ヘリの有効性、必要性等に関する国民的認識が、未だ低いこと。
第二に、救急ヘリを救急業務体制及び救急医療体制の全体の中にきちんと位置付け、救急車と連携して総合的に運用して行く体制が、未だ確立していないこと。
第三に、ドクターヘリを導入すれば、その運航費用の半分を都道府県が負担しなければならないが、財政規模の小さい地方の県ほど、都道府県負担分の捻出が困難なこと。
特に、上記第三の要因により、財政規模の小さい地方の県にドクターヘリを整備し難い事情があることは、考えてみれば深刻なことである。
山間部を抱え、田園地帯の広がる地方の県こそ、第三次救急を担う救命救急センターの数が少ない上、救急車の患者搬送に長時間を要するケースが多くなる傾向がある。したがって、そうしたところにおいてこそ、救急ヘリの整備が必要なのである。
それができないという事態をそのままにしておけば、結局において、救うべき命に「地方格差」が生じることを放置することにつながってしまう。
我々HEM-Netは、救急ヘリの整備は全国どこにおいても必要なことと考えるが、特に、わが国の救急業務体制及び救急医療体制に生じている地方格差を早急に解消しつつ、救急ヘリの全国的な整備を図っていくためには、国が、救急ヘリの整備を促進する明確な意思を表明し、その定める基本方針に従って関係機関・団体が一体となり、総合的かつ計画的に課題の解決に取り組む必要があると考える。
そして、国が最も明確にその意思を示す手段は、法律の制定であることは論をまたない。我々が昨年来、救急ヘリの整備を目指す法律(救急ヘリ整備基本法)を緊急に制定すべきことを提言している所以はそこにある。
幸いなことに現在、与党内において公明党の提議した『「ドクターヘリ救急医療の提供」に係る体制の整備の推進に関する法制化について』なる法案骨子をめぐる議論が開始されている。
我々は、このような意義深い動きを諸手を挙げて歓迎し、その積極的な展開と実り多い成果を心から期待するものである。
そして、我々HEM-Netは、今回の与党内の動きをきっかけにして、救急ヘリ整備に関する議論が一段と高まると予想し、救急ヘリ普及のための活動を続けてきたNPO法人として、この機会に「救急ヘリ整備基本法」の制定に関する我々の「基本的な考え方」を提示することが適切であると判断した。その素案は、以下のとおりである。
もとより、我々も、ここで解決されるべき課題に、困難かつ複雑な実務的処理を要するものが多く、これまで、何故、救急ヘリの整備が難しかったのか、その理由を理解しているつもりである。
しかし、だからこそ、実務的隘路を克服するためには、国の立法が必要なのだと考える。
今こそ、国がその立法行為を通じ、救急ヘリ整備を促進する意思を明確に示して、全国どこででも、迅速な救急医療を提供できる体制を確立し、もって国民の安全と安心を確保する時期が到来していると確信する。
第一 法律制定の目的を明確に定めること
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第二 この法律によって整備されるべき「救急ヘリ」の定義を明らかすること
この法律において、「救急ヘリ」とは、救急医療用の機器等を装備したヘリコプターであって、救急医療の専門医及び看護師等が直ちに搭乗して、すみやかに救急現場等に向かい、救急現場等において及び患者を救急現場等から医療提供施設に搬送するまでの間、患者に救急医療を行うことができる体制をとって運用されるものをいうものとすること。 |
<説明> 救急ヘリという言葉は、通常、単に救急・救助活動に従事するヘリコプター一般を含めて、多様に用いられている。しかし、我々が、ここで、整備しようとする救急ヘリは、救命効果を確実に上げ得る特定の要件を具備した救急専用のものに限定されるべきであり、そのことを明確に規定する必要がある。特に、救急医師等を救急現場等に急派する機能を備えていることは、必須の条件である。
ドクターヘリは、この要件を満たす。
消防・防災ヘリ等は、上記の要件を満たすように、特別の運用体制をとって運用されるものに限り、救急ヘリと言い得る。
第三 救急ヘリ整備に関する国の責務を明らかにすること
国は、救急ヘリ整備に関する自らの責務を明確にするため、関係省庁による「救急ヘリ整備委員会」を設置し、次の諸点を明らかにした、救急ヘリ整備の基本方針を定めるものとする。
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<説明> 上記1は、救急ヘリの整備に関する国の基本方針の第一の要諦である。
これまで、わが国においては、救急患者を搬送する「救急業務」と、救急患者に施す「救急医療」を統合して考える発想に乏しかったきらいがある。
救急ヘリは、医師の現場臨場と患者の搬送という二つの機能を持つものとして、救急業務と救急医療を結合する、ひとつのツールの役割を果たすものである。
消防機関と医療機関が相互に協力して、救急ヘリを整備し、その果たすべき役割を十分に果たさせることを通じ、救急業務体制と救急医療体制を統合して考える気運がいっそう高まり、切れ目のない救急体制の確立が促進されることが期待される。
なお、ドイツにおいては、医師が救急現場に到着するまでの法的許容時間をおおむね「15分以内」とする、いわゆる「15分ルール」が州法によって確立しているが、これは、救急車と救急ヘリの連携がよく取れていて始めて可能になるものである。
わが国においても、救急ヘリの整備の過程で、救急車と救急ヘリの相互連携の強化が図られ、「15分ルール」の実現に近づくことができるものと思われる。
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<説明> 救急ヘリ運用の具体的なシステム設計は、救急ヘリ運用が住民の福祉の増進に資するものであるとともに、広域にわたり、かつ、その規模と性格において、一般の市町村が処理することが適当でない事務であることに鑑み、基本的に、各都道府県が、その権限と責任において、行うべきものであり、国は、そのことを、国の基本方針の中に明確に定める必要がある。救急ヘリを、その地域の実情に応じ、その地域に最も相応しい形で運用するためには、都道府県に救急ヘリ運用形態の具体的な選択と決定を委ねるのが、最も効率的と思われる。
また、この法律が、救急ヘリ整備の責務が都道府県にあることを明確にすることは、各都道府県間に存在する、救急ヘリ整備に関する「温度差」を解消することにつながっていくであろう。
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<説明> 上記3と4は、我々が、この法律によって、新たな費用負担の仕組みを作ろうとする上での、基本をなす考え方であり、以下、若干詳細に説明したい。
なお、主として、ドクターヘリを念頭に置いて述べるが、消防・防災ヘリその他のヘリであっても、この法律において定義された救急ヘリとして運用されるものである限り、その費用負担の取り扱いは同一であるべきであるというのが、我々の考えである。
我々は、ドクターヘリの整備の促進を阻む最大の要因は、その運航費用の負担問題であると認識している。
現在、ドクターヘリは、国と都道府県の折半による全額公費負担で運航されているが、この都道府県負担が、財政難の折から、財政規模の小さい県ほど困難で、ドクターヘリの整備を妨げているというのが、まぎれもない現実なのである。
事実、ドクターヘリが既に配備されているのは、和歌山県を唯一の例外として、すべて財政規模の大きい道県である。ドクターヘリの整備が、他にも増して必要だと思われる東北、北陸、山陰、四国の各地方には、一機も配備されていない。
現在の仕組みで、公費(税金)だけを使ってドクターヘリを整備しようとする限り、
ドクターヘリの整備は、なかなか進まないし、進んだとしても、財政規模の小さい県
の整備は後回しになり、救うべき命に「地方格差」が拡大するおそれがある。
我々は、今、発想を転換して、運航費用の負担方式を考え直す必要に迫られていると考える。
この問題の解決策を考えた場合、ある意味で簡単なのは、運航費用を全額国庫負担とすることである。全額国費とすれば、費用負担の面での「地方格差」は出ようがない。
しかし、この策は、「地方」の自主性をより尊重して行こうとする時代の流れに逆行するものであり、我々は、取るべき方策とは考えない。
我々が提唱するのは、都道府県の負担額が、都道府県の財政規模に応じたものになるよう国が調整する一方で、国と都道府県による公費負担の仕組みに加えて、
- ドクターヘリ運用の受益者である各種社会保険の保険者・被保険者にも応分の負担を求めることとし、ドイツ、スイス、アメリカの諸国と同様、運航費用を保険給付の対象にすること。
- 各種団体・個人からの「寄付」を募り、運航費用の一部を賄うこと。
を柱とする、新たな費用負担の仕組みを作ることである。
我々は、命の危機に陥っている人を救おうという救急活動は、本来的に、社会連帯と共助の精神に則り、「官」も「民」も共に参加する「公益」の場で行われるべきものと考える。
救急車による患者搬送は、現在、全額公費負担でシステムが整備され、全国的に円滑に業務が遂行されている以上、新たな仕組みを考える必要はないが、救急ヘリの整備と運用は、公費負担だけではうまくいかないのが、現状なのである。
そうであれば、その費用負担の問題は、本来の社会連帯と共助の精神に立ち戻って考え、「官」も「民」も共に参加する「公益」の場において、負担を広く分散しながら、問題の解決を図るというのが、とるべき方策ではないだろうか。
救急ヘリは、先述のとおり、患者をより早く搬送するということ以上に、医師を救急現場等に急派して、より早期に救急治療を施すことを可能にする機能を有することにおいて、救急活動全体の有効性を決定付ける重要な役割を果たすものである。
わが国においては、このような機能を果たす仕組みは、従来、あまり整備されてこなかった。従来整備されてこなかったものを、新たに整備しようとすれば、どうしても、既存の考え方ではうまくいかず、新しい考え方が要求される。
具体的にどのような仕組みを作るかということは、今後の検討課題であるが、実務的にかなり複雑で困難な作業を必要とすることは、否定しない。
しかし、この関門をクリアーしないと、救急ヘリの全国整備の展望は拓けない。問題を立法論として捉え、新たな発想に基づき、必要な法制上及び税財政上の措置を取るようにすべきである。負担者ないし助成者ごとの負担額ないし助成額が、どの程度のものになるかについては、第七の項で述べる。
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<説明> 前述のとおり、救急ヘリ運航費用の一部は、各種団体・個人からの寄付によっても賄うことができるような仕組みを作るべきであるが、その場合、国が、単一の「受け皿」組織を設置し、そこに寄付を一括して受け入れ、かつ、一定額以上の寄付をした者には、税法上の優遇措置がとられるよう、制度を整備することが合理的である。
下記第八で、そのような趣旨で設立される「救急ヘリ運航費用支援基金」について、詳述するが、同基金は、受け入れた寄付を財源として、全国の救急ヘリ事業者に所要の運航費用の助成を行うことになる。
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<説明> 救急ヘリ運航費用に関する新たな負担方式が成立しても、国は、救急ヘリ事業者に対し、救急ヘリ運航費用及び救急ヘリの円滑な運用を支える基盤整備費用の一部も助成すべきである。そのことを国の責務として明確にしておく必要がある。
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第四 救急ヘリの整備に関する都道府県の責務を明確にすること
救急ヘリの整備は、基本的に、都道府県の責任において進められるべきことは、既に述べたとおり、国の基本方針のなかで明確に定められるが、その具体的な内容は、おおむね次のとおりである。
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第五 都道府県知事の指定を受けた救急ヘリ事業者の責務を定めること
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第六 救急ヘリの整備に関する医療提供施設の責務を定めること
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第七 救急ヘリ運航費用の負担分担及び助成のあり方について
既に述べたとおり、救急ヘリ運航費用は、国及び都道府県と共に、救急ヘリ運用の受益者である各種社会保険の保険者・被保険者、その他各種団体・個人が参加して負担又は助成するものとするよう、必要な法制上及び税財政上の措置が取られるべきであるが、以下に、その具体策に関する我々の考え方を示す。あくまで、今後の議論のための素案であり、議論の過程で内容が修正されることは当然と考えている。
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<説明> 現行の各種社会保険の保険給付を見る限り、救急ヘリ運航費用にぴったりと適用できる給付がないことは、理解している。したがって、立法論として問題を解決する他はない。
救急ヘリ運航費を、基本的に、患者の搬送費と考えるか、医師の救急現場等への派遣費と考えるかで、給付の性格が変わってくるが、我々は、既に現行の保険制度のなかで、患者の「移送費」が認められているのだから、その「移送費」を、要すれば、必要な修正を加えた上、救急ヘリ運航費用に適用すれば、それでよいと考えている。
ただ、救急車による患者搬送との切り分け等が問題になるのであれば、患者搬送という視点を変えて、端的に、「救急ヘリによる医師の救急現場等への派遣に要する費用」に充てる給付を新たに設定することも考えられる。
救急ヘリは、まさに、この医師の救急現場等への派遣により早期の救急医療処置の開始を可能にする点において、救急医療の「質」を左右する重要な役割を果たすものであるから、その運航費用は、医療に直結する医師派遣費用として捉えたほうが自然かもしれない。
どちらの観点で捉えても、給付額は、同じになるはずで、そうした給付を新たに設定しても、それが、保険給付のなかに占める割合は、全体の0.01%以下である(この点、後に詳述)。
なお、救急ヘリ運航費用に保険を適用することになった場合、いわゆる「ドクターカー」も同じ扱いを受けることになるべきであると考える。
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<説明> ここでの基本的な考え方は、救急ヘリ運航費用を主として負担する者は、各都道府県の救急ヘリの制度設計者である都道府県と、救急ヘリ運用の受益者である保険者・被保険者であるということを前提にし、その負担を、少しでも軽減するよう、各種団体・個人が社会連帯的に行う寄付をもって支援した上、さらに所要の運航費用の総額との間に不足が生ずるときは、それを国が助成するということである。
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<説明> 上記のとおりの負担ないし助成をするとして、負担者ないし助成者ごとの負担額ないし助成額は、どの程度のものになるか。
システム設計の過程で、厳密な計算がなされるべきであるが、ここで、ごく大まかな負担のイメージを持っていただくために、敢えて、ドクターヘリ運航費用について、推計値を示せば、次のようになる。
現在、ドクターヘリ一機当たりの運航費用は、国庫補助の基準額としては、年間約1億7,000万円であるが、その実績額は、もうすこし高めなので、ここでは、年間約2億円としておく。仮に、全都道府県に50機のドクターヘリを整備すると、運航費用の年間総額は100億円。国民一人当たり、年間約80円の負担になる。
ドクターヘリの飛行一回当たりの費用は、飛行実績によって変わるが、現在の飛行実績は、一機当たり年間約400回であるから、この割合で全国50機のヘリが稼動すると、飛行一回あたりの運航費用は、約50万円となる。
消防・防災ヘリの運航費用は公表されていないので、新たにドクターヘリを導入せずに、既存の消防・防災ヘリを活用した場合、その運航費用がどのくらいのものになるか、我々は知ることが出来ない。ただ、それを救急ヘリの要件を満たすように運航すれば、一機当たりの年間費用は、とても2億円程度ではすまないであろう。
実は、運航費用に関して見る限り、航空ヘリ会社からのリースで運用するドクターへリが、最も割安であると思われる。
この総額年間約100億円、飛行一回当たり50万円の運航費用を、各負担者又は助成者の間で、どう割り振るかは、今後検討すべき課題である。
ここでは、仮に、寄付が年間約10億円集まるとし、国、都道府県、保険者の負担を均等に考えると、国30億円、都道府県30億円、保険者30億円の年間負担になる。
保険者は、被保険者が救急ヘリ・サービスを受ける都度、運航費用を負担することとなるが、その都度の負担額は、保険者の全体が引き受けなければならない年間負担額を考慮した上、上限が設定されることになる。
保険者の年間負担額を、上記のように30億円とすると、飛行一回当たりの負担額は、約15万円。
ただ、ドクターヘリの場合、現場に駆けつけたところ、救急事態は解決していたということ(いわゆる「空振り」)は、間々あることなので、一回ごとの負担額は15万円より少し高めに設定する必要がある。いずれにしても、飛行一回当たりの負担額の上限を、15~20万円程度に設定しておけば、保険者の負担分は賄えると考えていいであろう。
ちなみに、保険者が負担することとなる額を、年間30億円と想定すると、それが医療保険給付の全体の中に占める割合は、0.01%程度になると考えられる。
この保険者全体で30億円となる負担を、さらにブレークダウンして、個別の保険者ごとに見ると、いくらになるか。それは、ドクターヘリで搬送された患者を、国保、社保、自賠責、労災など保険ごとに分類してみる必要があるが、現在のところ、最新の適切な資料は入手できていない。
かなり古い資料であるが、ドクターヘリの試行運用が開始された1999年から、6病院の本格運用が開始された2003年までの間にヘリ搬送された患者5,136名が入院治療費用の支払いに利用した「適応保険の種類別、年次集計一覧表」という資料がある。
それによると、社保(職域保険)適用患者は1,483名で28.9%、国保(地域保険)適用患者は2,044名で39.8%、自賠責保険適用患者は450名で8.8%、労災保険適用患者は553名で10.8%、その他が606名で11.7%であり、これにより各保険者の年間負担額を割り出すと、社保約8.7億円、国保約12億円、自賠責約2.6億円、労災約3.2億円となる。
また、救急ヘリ運航費用を保険給付の対象にすれば、当然、被保険者の自己負担をどうするかが問題になる。ただ、この点、本案は、この法律による仕組みが軌道に乗った後はともかく、制度の発足に当たっては、あまり明確に規定せず、被保険者の自己負担は、各保険者が定めるとだけしておき、各保険者において、その自己負担を限りなくゼロにする努力をすべきことを規定しておけば足りるのではないかと考える。各保険の財政状況は、様々であろうから、画一的な自己負担額の設定には、無理があるからである。
なお、この点、我々の案では、救急ヘリ・サービスを受けた者が、後述する「救急ヘリ運航費用等支援基金」に一定額の寄付をすれば、同基金がその者の自己負担分を肩代わりする仕組みを作ることを提案している(第八の4参照)。この仕組みは、スイスのREGA(航空救急隊)が採用して、国民全員参加型の運航費用負担方式を作り上げる上で、効果をあげているものである。
同基金の財務基盤の確立状況にもよるが、この一定額を2,000円とか3,000円のレベルにしておけば、被搬送者の自己負担は象徴的なものに止めることができると思われる。
第八 「救急ヘリ運航費用等支援基金」を設置すること
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<説明> 国は、各種団体・個人からの寄付の受け皿となる役割を担う組織として、「救急ヘリ運航費用等支援基金」を設置するものとすることについては、既に述べとおりである。
同基金は、全国の各種団体・個人からの寄付を一括して受け入れて、管理し、その寄付を財源としながら、救急ヘリ事業者に所要の補完的助成を行うこととなる。
ところで、先述のとおり、国は、救急ヘリ事業者に対し、所要の運航費用を助成することになるが、それは、同基金とは別途に、救急ヘリ事業者に資金を流すのではなく、同基金に助成金相当額を出資して、寄付金と一括して管理した上、同基金から、救急ヘリ事業者へ助成金が流れていくという方式を取ったほうが、合理的であるというのが、我々の考え方である。
国が救急ヘリ事業者に対して行う基盤整備費用の助成についても、運航費用と同様、同基金を通じて行うのが、合理的である。