『HEM-Net プラザ』発刊に当たって
認定NPO 法人 救急ヘリ病院ネットワーク(HEM-Net)
理事長 篠田 伸夫
認定NPO 法人「救急ヘリ病院ネットワーク(HEM-Net)」は、ドクターヘリの全国普及のための広報誌として2005年11月に『HEM-Net グラフ』を創刊し、爾来、年間4回のペースで発行を続けてきた。
『HEM-Net グラフ』は、その創刊号の表紙のタイトルが「ドクターヘリを知っていますか。」、第2 号のそれが「ドクターヘリはどうやって呼ぶのでしょう。」となっていることに如実に示されているように、当時まだ全く知名度の低かったドクターヘリのことを、いかにして国民各層に広く周知させるかを主たる目的とするものであった。したがって、編集の方針も、有識者等との対談・座談会を開催してドクターヘリ活動の啓発に努めたり、ドクターヘリ運航基地病院を訪問してその活動を取材したり、救命された患者の実例を紹介したり、あるいは、その時折のニュースを取り上げるなど、多岐に亘るテーマについて網羅的・一覧的に記事を掲載するという方針をとってきた。『HEM-Net グラフ』は、正にドクターヘリが普及発展していく段階にあって、多くの人々にドクターヘリをトータルに理解していただく意味において、優れて時代的な役割を果たしたものであった。しかし、今や全国43道府県に53機のドクターヘリが配備され、未導入の2県においても導入が確実視される今日、量的拡大を主眼としてきた『HEM-Net グラフ』の使命は十分に果たされたといえよう。
こうした認識に立って、HEM-Net は、『HEM-Net グラフ』が昨年12月をもって50号という節目の号を迎えたのを機に、これを発展的に終了し、新たな編集方針の下に新たな広報誌を発刊することとした。これが『HEM-Net プラザ』である。その時々の重要なトピックスの中から一つ乃至二つのテーマを選び、そのテーマ毎に、奥行きのある記事を掲載し、ドクターヘリを用いた救急医療の質の向上に資する方向を目指すこととしたわけである。誌名を「プラザ」としたのは、人々が「広場」に集うように、多くの救急医療関係者が本誌の周りに集まって議論を深めるという趣旨を込めたものである。
『HEM-Net プラザ』第1号は、日本で唯一地方自治法上の広域連合制度を活用してドクターヘリを府県境を越えて広域に運用するシステムを確立している関西広域連合を取り上げることとし、広域連合によるドクターヘリ運用のメリットは何か、また、どういった特性があるのか、関西広域連合における広域医療分野の事業遂行の責任者である飯泉嘉門徳島県知事など、関係者の取材を行った。
HEM-Net としては、今後も、重要なトピックスを捉え、掘り下げた分析を行った記事を掲載していくつもりである。『HEM-Net グラフ』と同様、ご高覧をいただければ幸いである。