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「ドクターヘリ支援基金」と「ドクターヘリ支援事業」の開始
2010.02.17

「ドクターヘリ支援基金」の開設と「ドクターヘリ支援事業」の開始について

 

2007年6月、いわゆる「ドクターヘリ特別措置法」が成立して以来、全国各地で、ドクターヘリの導入の気運が高まり、遠からず、全国の過半数を越える道府県において、ドクターヘリが配備される見通しが付きつつあります。

HEM-Netは、こうした情勢の好転に力を得て、更なる活動の充実・強化を図るべく、ドクターヘリ特別措置法第9条に基づき、病院の開設者に対しドクターヘリを用いた救急医療の提供に要する費用を助成する「ドクターヘリ支援事業」を行うこととし、同事業を遂行する基金を募るため、「ドクターヘリ支援基金」を開設いたします。

以下、この間の事情を、若干、説明させていただきます。

ドクターヘリ特別措置法は、その第9条において、病院の開設者に対し「ドクターヘリを用いた救急医療の確保に要する費用」を助成する「助成金交付事業」を行なう非営利法人を登録する制度を設け、当該事業を行うための基金は、「政府及び都道府県以外の者」から募るべきことを規定しております。

この制度の趣旨とするところは、ドクターヘリが、救急患者の救命率の向上と予後の改善に大きな効果を発揮し、安心で安全な社会の実現に寄与するものであることに鑑み、その運用に要する費用を「政府および都道府県以外の者」、すなわち、個人・企業・民間団体等にも一部ご負担願うことにより、「官」も「民」も一緒になって、「公益」の立場に立ち、「国民みんなの公益財」であるドクターヘリの円滑で効率的な運用を図っていこうとするものであると思われます。

HEM-Netは、この法律の趣旨を体して、ドクターヘリを「民」の力で支える新しいシステムを構築すべく、まず、厚生労働省に対し、ドクターヘリ特別措置法第9条にいう「助成金交付事業」を行う非営利法人としての登録申請を行ない、平成21年6月8日付けをもって、厚生労働大臣から、わが国初の登録を受けました。

そして、その上で、国税庁から、寄付者側に税法上の優遇措置を与えることのできる「認定NPO法人」の認定を受けている利点を生かし、所要の資金を募るための「ドクターヘリ支援基金」を開設することとしたのであります。

ドクターヘリ支援基金設置要綱」および「 ドクターヘリ支援事業の概要」は、添付資料のとおりです。

少し敷衍いたしますと、「ドクターヘリ支援事業」の中心的事業となりますのは、これからドクターヘリを導入しようとする道府県の若手の医師・看護師等に、ドクターヘリに搭乗して活躍できる知識・技能を習熟させる研修の実施に要する費用の助成であります。

現在、多くの道府県で、ドクターヘリの導入のための真剣な検討が進んでおりますが、どこでも頭の痛い課題になっておりますのは、ドクターヘリに搭乗する医師・看護師等の確保であります。

量的に確保するだけでなく、ドクターヘリに搭乗して現場に急行し、急行した現場でしっかりとした医療措置のとれる質の高い医師・看護師等を確保することが喫緊の課題です。

そこで、HEM-Netは、この喫緊の課題の解決に資するために、既にドクターヘリを運航してノウハウを蓄積している基幹的病院に、医師・看護師等を研修員として受け入れていただき、実習を主とする研修をほどこして、実際にドクターヘリに搭乗して一定水準以上の質の高い医療活動のできる医師・看護師等を養成するという研修制度を発足させ、その必要経費を助成する事業を構想いたしました。

また、その他に「ドクターヘリ支援事業」として考えておりますのは、ドクターヘリ運航責任者研修の助成、ドクターヘリの有効性等を検証するための調査・研究の助成、ドクターヘリ運航の高度化等を図る業務の助成などであります。

なお、「ドクターヘリ支援基金」からの助成金の交付については、部外有識者等から成る「助成金審査委員会」を設け、その審査を受けながら行うものとする他、基金の管理・運用は、特別会計を設け、厳正に行っていく所存であります。

皆様には、「ドクターヘリ支援事業」の意義と、この事業を支える「ドクターヘリ支援基金」の重要性と必要性をご理解いただき、格別のご支援を賜りますよう、心からお願い申し上げます。

                                         認定NPO法人 救急ヘリ病院ネットワーク(HEM-Net)

                    理 事 長   國  松  孝  次