HEM-Netは、救急医療用ヘリコプター(ドクターヘリ)の普及促進活動を主たる活動目的とするNPO法人でありますが、2010年度から、タカタ財団からの助成を得て、交通事故自動通報システム(ACN)によって起動される新たなドクターヘリ出動システムを構築して、交通事故死亡の削減を図ろうという研究を続けてまいりました。
ドクターヘリは、いったん、出動すれば、50キロ圏内を15分で航行する高速性能を有しますが、現実の問題は、事故の発生からドクターヘリ発動までに消費される時間にあります。この時間をいかに短縮できるかが、カギを握ります。 この点、一定以上の規模の交通事故が起こった時、既に、一定の乗用車に装備されているACNの仕組みを活用し、ACNによってもたらされる情報をドクターヘリに直結するシステムを構築すれば、有効であることはよく認識できるのでありますが、現実には、これまでのACNによってもたらされる事故情報では、肝心の傷害の程度を的確に予測できる情報に乏しいことが隘路になっておりました。 このほど、従来のACNを改良したAACNモデルが開発され、傷害程度の予測に一定の道筋が示されたことは、大きな進歩であります。 この実証実験は、AACN装備車両を用いた衝突実験を行い、車両が衝突した時から、ドクターヘリが出動し医師・看護師が負傷者と接触するまでの時間を計測するともに、AACNのもたらす傷害程度に関する情報の有効性を検証することを目的とするものであります。 本実験は、交通事故死者の減少に確実に結びつく有効な救命救急医療措置を可能にするドクターヘリの活用にとって、画期的な実験となるものであります。 HEM-Netでは、本実験の結果を踏まえて、2年間にわたって続けてきた「ACNが起動するドクターヘリシステムによる交通事故死亡削減効果の研究」を完結し、研究成果の公表と必要な提言を行っていく予定であります。 HEM-Net 理事長 國松 孝次 交通事故自動通報(AACN)実証実験スケジュール救命救急効果説明(日本医科大学千葉北総病院 益子邦洋教授)
|